〇前回、黄庚の『閨情效香奩體』詩を案内して、黄庚の詩情が気になった。
・書庫「無題」:ブログ『黄庚:閨情效香奩體』
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/41425477.html
〇それで、もう一つくらい、黄庚の詩を案内してみたい。今回紹介するのは、黄庚の『江村』詩である。
【原文】
江村
黃庚
極目江天一望賒
寒煙漠漠日西斜
十分秋色無人管
半屬蘆花半蓼花
【書き下し文】
江村
黃庚
目を江天に極むれば、一望賖かに、
寒煙は漠々たりて、日は西に斜めなり。
秋色は十分たるも、人の管することなく、
半ばは蘆花に属し、半ばは蓼花たり。
【我が儘勝手な私訳】
川と空が何処までも広がる先まで目をやっても、一望のもと世界は広がり、
寒々とした秋の夕霧が広がり立ち込めて来て、太陽も西に傾いてしまっている。
この江村一帯は今まさに秋色一色だと言うのに、これを賞する人一人も居ない。
半分は白い蘆の花が咲き乱れ、残りの半分は赤い蓼の花で埋め尽くされている。
〇黄庚の『閨情效香奩體』詩や『江村』詩を読むと、黄庚の詩情の豊かさに感心する。もともと、黄庚と言う詩人は、そういう詩人なのであろう。時間があれば、もっと訳してみたい詩人の一人である。