Quantcast
Channel: 古代文化研究所
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1914

中西進名誉教授に聞く~其の四~

$
0
0





○2013年12月12日、宮崎日々新聞第19面に、「中西進名誉教授(京都市立芸術大)に聞く」と題した一文が載った。日向神話に関する文で、これまで三回にわたって検証して来た。

○新聞記事に関しては、一通り検証を済ませた。ただ、日向神話はこの新聞記事にある、‥径更瀘弯析叩↓海幸山幸神話だけではない。もう一つ、神代三山陵も忘れてはならない大事な問題である。

○宮崎日々新聞の記事「中西進名誉教授(京都市立芸術大)に聞く」が、どうして神代三山陵を問題にしないのかは、はっきりしている。それは、この新聞記事自体が宮崎市周辺を中心とした神話を問題としているからだと思われる。つまり、宮崎市周辺であれば、神代三山陵を問題にすること自体が難しいのである。

○日向神話は、つまるところ、天孫降臨の初代・彦火瓊々杵尊、二代・彦火火出見尊の御陵、三代・彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊の、神代三代の御代の話である。それで日向神話の話をするのであれば、神代三山陵は、どう考えても、避けて通れない問題である。それが案内されないのであれば、画竜点睛を欠くと言うしかない。

○宮崎県に、神代三山陵の候補地が全く存在しないわけではない。宮崎県には、
  ・可愛山陵:延岡市北川町長井に存在する御陵伝説地、もしくは可愛岳
  ・高屋山陵:西都市都於郡の高屋行宮址
  ・吾平山陵:日南市大字鵜戸の鵜戸神宮境内の速日峰
などが伝説地として知られる。しかし、よく検証してみれば判ることだが、これらが神代三山陵である可能性はまるで無い。

○何より、神代三山陵は連続する三代の御陵である。それがまるでバラバラに存在することは考えられない。加えて、日向神話の内容とも深く関係するわけであるから、それにも合致した場所でなくてはならない。そう言う点を考慮すると、神代三山陵が宮崎県に存在することは難しい。

○神代三山陵について、本ブログでは、すでに2007年12月に、16回にわたって、詳細な検証を加えている。詳細は、以下を参照されたい。
  ・書庫「神代三山陵の研究」:16個のブログ
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/144322.html?m=l&p=1

○現在、神代三山陵は次のように比定されている。
  初代・彦火瓊々杵尊の御陵=可愛山陵=鹿児島県薩摩川内市の新田神社
  二代・彦火火出見尊の御陵=高屋山陵=鹿児島県霧島市溝辺町麓の高屋山陵
  三代・彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊の御陵=吾平山陵=鹿児島県鹿屋市吾平町上名の吾平山陵
しかし、この神代三山陵は決して正しい比定地ではあり得ない。このことについても、詳しくは、上記した「神代三山陵の研究」を参照していただくしかない。

○その後、「神代三山陵の研究」は更に発展を遂げている。それが畿内に存在する神代三山陵の先坣僑位である。奈良盆地の大和国中(やまとくんなか)には「万葉集」で知られる大和三山、
  ・畝傍山(199.2叩
  ・香具山(152.4叩
  ・耳成山(139.7叩
が存在する。しかし、この大和三山は、実は本物ではなく、大和三山のレプリカに過ぎない。本物の大和三山は、南九州に存在する次の山である。
  ・畝傍山=霧島山(1700叩
  ・香具山=桜島山(1117叩
  ・耳成山=開聞岳(924叩

○驚くべきことに、畿内には神代三山陵の先坣僑位まで存在する。神代三山陵の先坣僑位は次のようになる。
  初代・彦火瓊々杵尊の御陵=可愛山陵=吉野山
  二代・彦火火出見尊の御陵=高屋山陵=高野山
  三代・彦波瀲武鸕鷀草葺不合尊の御陵=熊野本宮

○これらを見ると、現在比定されている神代三山陵がまるで別物であることも確認される。古代人がこういうふうに、出身地である邪馬台国の邪馬台国三山や狗奴国の神代三山陵の先坣僑位を畿内に持ち込んでいることに感動すら覚える。

◎こういうふうに、神話の中に歴史の寓意を見出すことが神話の楽しさである。神話は決して単なる作り話ではない。そのためにも、丁寧にまず神話を原文で読むことである。そしてその神話の現場に出掛けること。そうすればその神話が意味する寓意が見えて来る。

◎また、先人の研究成果も見逃せない。神代三山陵に関しては、江戸時代の白尾國柱が最も詳しい。白尾國柱の「麑藩名勝考」は名著で、名文だし、教わることも多い。

◎神代三山陵も邪馬台国三山も、神代三山陵の先坣僑位も、そうやって時間を掛けて追い求めて発見した結果である。まだ誰も知らない世界が見えて来る。これらは決して一つ一つが別々ではなく、それぞれが密接に繋がっている。だから、芋づる式に引っ張り出すことが可能なわけである。調べれば調べるだけ、まだまだ奥深い感じがする。これから、十分時間を掛けて取り組まなくてはならない問題である。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1914

Trending Articles