○前回、『大隅の垂水』の話を書いた。枕詞「おおすみの」の話であった。枕詞「おおすみの」と言うものが嘗て存在していたと言う話である。それは昔々の話であるから、なかなか検証も難しい。これから、その検証に挑戦するわけである。
○もっとも、枕詞がどういうものであるか。現代に於いて、そのことをきちんと認識している人の方が少ないのではないか。ちなみに、ウィキペディアフリー百科事典では、次のように説明する。
枕詞
枕詞(まくらことば)とは、主として和歌に見られる修辞で、特定の語の前に置いて語調を整えた
り、ある種の情緒を添える言葉のこと。序詞とともに万葉集の頃から用いられた技法である。
〔歴史と起源〕
枕詞は『万葉集』から現代短歌に至るまで、長きに渡って用いられている。「まくらことば」とい
う語自体は『古今和歌集』の仮名序に見えるが、これは歌枕の意味で使われていると見られる。平安
時代末の人物顕昭の著書『古今集序注』には、藤原教長の説として「マクラ詞トハ常詞(つねのこと
ば)也」と記されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/枕詞
○上記説明には、
・枕詞は『万葉集』から現代短歌に至るまで、長きに渡って用いられている。
とあるけれども、そんな話は聞いたことがない。万葉時代がすでに枕詞の終焉期なのである。そういう意味では、ウィキペディアフリー百科事典の枕詞の定義自体にも、大いに問題がある。
○気になるので、岩波古語辞典が案内する枕詞項目を紹介しておきたい。
まくらことば〔枕詞〕
―ぞΨ鼠討里燭瓩飽燭觚譴両紊謀困┐蕕譴觚譴里Δ繊形容詞・形容動詞・副詞・接頭語に含まれ
ない語。文字のなかった時代に盛んに使われた修飾の技法で、仮名文字が広まった平安時代以後は、
特定の語(例えば、旅・山)に対するもの(草枕・足引きの、など)に限られるようになり、歌の
音節数を調えるためなどに使われた。「うば玉とは夜と云はんとての枕詞なり」≪宗祇袖下≫。
「百足らずと云ふは八十(やそ)の枕詞ぞ」≪日本書紀抄≫▽修辞法としては古代から行われてい
たが、これが「枕詞」とよばれたのは、はるか後代のことである。
○判るように、枕詞が使われたのは、
・文字のなかった時代に盛んに使われた修飾の技法
と言うのが正しい。ウィキペディアフリー百科事典には、大いに誤解がある。
○枕詞「おおすみの」が垂水に掛かる枕詞だと言うのは、そういうことである。なかなか説明することが難しいけれども。それは『おおすみ』が、どういう言葉であり、地名であるかに、大いに関係する。ついでに、岩波古語辞典が案内するすみ項目を見ておこう。
すみ〔隅〕
≪四角な平面の、はずれの角の所の意。類義語クマは、道や川の曲がり目、また、隠れて見えない
所の意≫。はずれの角の所。「大工匠(おほたくみ)拙劣(をぢな)みこそ〔御殿ノ〕隅傾(かたぶ)
けれ」≪記歌謡一〇六≫。〔碁デ〕隅の所所いくらと指をかがめて、十・二十…など数ふるさま」≪
源氏空蝉≫。
○こうなると、くま項目も気になる。
くま〔曲・隈・隅〕
≪道や川の曲がり込んだ所。類義語スミは周囲をかこわれているものの奥の箇所≫]儷覆靴討い
ものの曲がり目。
○もっとも、枕詞がどういうものであるか。現代に於いて、そのことをきちんと認識している人の方が少ないのではないか。ちなみに、ウィキペディアフリー百科事典では、次のように説明する。
枕詞
枕詞(まくらことば)とは、主として和歌に見られる修辞で、特定の語の前に置いて語調を整えた
り、ある種の情緒を添える言葉のこと。序詞とともに万葉集の頃から用いられた技法である。
〔歴史と起源〕
枕詞は『万葉集』から現代短歌に至るまで、長きに渡って用いられている。「まくらことば」とい
う語自体は『古今和歌集』の仮名序に見えるが、これは歌枕の意味で使われていると見られる。平安
時代末の人物顕昭の著書『古今集序注』には、藤原教長の説として「マクラ詞トハ常詞(つねのこと
ば)也」と記されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/枕詞
○上記説明には、
・枕詞は『万葉集』から現代短歌に至るまで、長きに渡って用いられている。
とあるけれども、そんな話は聞いたことがない。万葉時代がすでに枕詞の終焉期なのである。そういう意味では、ウィキペディアフリー百科事典の枕詞の定義自体にも、大いに問題がある。
○気になるので、岩波古語辞典が案内する枕詞項目を紹介しておきたい。
まくらことば〔枕詞〕
―ぞΨ鼠討里燭瓩飽燭觚譴両紊謀困┐蕕譴觚譴里Δ繊形容詞・形容動詞・副詞・接頭語に含まれ
ない語。文字のなかった時代に盛んに使われた修飾の技法で、仮名文字が広まった平安時代以後は、
特定の語(例えば、旅・山)に対するもの(草枕・足引きの、など)に限られるようになり、歌の
音節数を調えるためなどに使われた。「うば玉とは夜と云はんとての枕詞なり」≪宗祇袖下≫。
「百足らずと云ふは八十(やそ)の枕詞ぞ」≪日本書紀抄≫▽修辞法としては古代から行われてい
たが、これが「枕詞」とよばれたのは、はるか後代のことである。
○判るように、枕詞が使われたのは、
・文字のなかった時代に盛んに使われた修飾の技法
と言うのが正しい。ウィキペディアフリー百科事典には、大いに誤解がある。
○枕詞「おおすみの」が垂水に掛かる枕詞だと言うのは、そういうことである。なかなか説明することが難しいけれども。それは『おおすみ』が、どういう言葉であり、地名であるかに、大いに関係する。ついでに、岩波古語辞典が案内するすみ項目を見ておこう。
すみ〔隅〕
≪四角な平面の、はずれの角の所の意。類義語クマは、道や川の曲がり目、また、隠れて見えない
所の意≫。はずれの角の所。「大工匠(おほたくみ)拙劣(をぢな)みこそ〔御殿ノ〕隅傾(かたぶ)
けれ」≪記歌謡一〇六≫。〔碁デ〕隅の所所いくらと指をかがめて、十・二十…など数ふるさま」≪
源氏空蝉≫。
○こうなると、くま項目も気になる。
くま〔曲・隈・隅〕
≪道や川の曲がり込んだ所。類義語スミは周囲をかこわれているものの奥の箇所≫]儷覆靴討い
ものの曲がり目。