○普陀山には『普陀山三石』なるものが存在し、その具体的事物は、
・磐陀石
・心字石
・二龟听法石
となっている。西天香道を代表する景色が『普陀山三石』であることは言うまでもない。
○しかし、前に、ブログ『心字石・西天門』で案内したように、心字石は極めて新しいものであるから、普陀山信仰を考える上で、あまり参考にならない。加えて、心字石が西天門外に存在することにも留意すべきであろう。
・書庫「日本仏教伝来の普陀山」:ブログ『心字石・西天門』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38544862.html
○そういう意味では、西天香道の見所として、『Putoushan Travel Guide(普陀山自由行指南)』が案内している中で、
磐陀石 西天臥石牛 説法台石
五十三参石 偉鄒舒叩 ´影鶺議伊\
は、ほぼ同じ場所に並んで存在することから、本当の西天香道の中心が、この辺りであることが理解される。
○つまり、西天門から入った先に、圓通禅林や梅福禅院などの諸寺諸院が存在したけれども、それらも後世のものであって、もともと、西天香道の本質は、
磐陀石 西天臥石牛 説法台石
五十三参石 偉鄒舒叩 ´影鶺議伊\
にあるとするしかない。
○それらのものが「偉鄒舒叩廚鮟韻弌∩瓦銅然石であることに注目する必要がある。その例外である「偉鄒舒叩廚砲靴燭箸海蹐如△修Δい自然石を斎き祀る御堂であることは間違いない。
○現代の私達が実見するこれらの自然石群は、まるでまとまりの無い存在でしか無い。『普陀山三石』だとされる、
・磐陀石
・二龟听法石
を見たところで、さほど、神意とか佛意を感じるほどでも無い。
○しかし、『五十三参石』の名が示すように、本来、ここでは華厳経に基づく信仰があったことを窺わせる。普陀山は天台山からそれほど遠くない。天台山の智者大師智(538~597)の影響が大きいのではないかと思われる。
○現在、普陀山は観音信仰一色に彩られている。中国の検索エンジン百度の『百度百科』が案内する普陀山にもあるように、
普陀山
普陀山,与山西五台山、四川峨眉山、安徽九华山并称为中国佛教四大名山,是观世音菩萨教化众生
的道场。普陀山是舟山群岛1390个岛屿中的一个小岛,形似苍龙卧海,面积近13平方公里,与舟山群岛
的沈家门隔海相望,素有“海天佛国”、“南海圣境”之称,是首批国家重点风景名胜区。2007年(丁
亥年)5月8日,舟山市普陀山风景名胜区,经国家旅游局正式批准,为国家5A级旅游风景区。“海上有
仙山,山在虚无缥缈间”,普陀山以其神奇、神圣、神秘,成为驰誉中外的旅游胜地。
と、観音信仰の聖地であるとされている。
●西天香道で、磐陀石は、やはり、突出した聖跡であろう。私が磐陀石を訪れたのは、2013年10月13日午後3時半ころだった。あと1時間か2時間待てば、普陀山十二景の一つとされる『磐陀夕照』が見られる時間になるとも考えたが、何しろ、すでに十分疲れていた。残念ながら、諦めるしかなかった。
●磐陀石の奥には、『説法台石』が存在する。『五十三参石』は、その説法台石に至るところに散在する岩石群だと思われる。実際は、樹木に遮られ、その全貌を見ることは出来ない。
●西天臥石牛は、磐陀石の脇に存在する。余程注意して見ていない限り、見過ごすほどの岩石である。
●霊石庵は、磐陀石の横に存在する寺院である。多くの参詣客が点す線香の煙がもうもうと立ち籠めている寺である。
●二亀聴法石は、磐陀石から、もう少し西へ下ったところに存在する。ここも樹木が生い茂り、容易に全容を見ることは難しい。写真等で見知っているから、岩を這う二匹の亀の姿を認めることが出来る。
◎普陀山案内では、磐陀石や説法台石で、観音様が説法をなさったことになっている。それが普陀山の観音信仰の原型だと思われる。しかし、本来、観音菩薩が存在したところは、印度の南の島なのであるから、普陀山で観音様が説法なさったことを信じることは難しい。
◎おそらく、菩薩行をなさっている人々がここに参集していた。そういう聖地が普陀山なのであろう。もちろん、そういう人々が目指していたのが観音菩薩であることは言うまでも無い。
◎西天香道からは、今でも、そういう観音様の御姿を見ることが出来る。それが西天香道から望む洛迦山である。何時かはあのように成仏することを願って菩薩行をなさっていたのであろう。
◎普陀山西天香道に存在する諸石に、二亀聴法石や西天臥石牛、五十三参石などが存在するのは、意味深長である。つまり、誰もが得度すれば観音様になれるわけではない。表現は的確ではないかもしれないけれども、二亀聴法石や西天臥石牛、五十三参石などの石は、観音様に成り切れなかったものたちの姿なのではないか。私にはそういうふうに感じられた。
◎私は浄土真宗の門徒であるから、衆生は西の極楽浄土を目指すものと思っている。しかし、普陀山では、最も東に説法台石は存在する。その説法台石へ向かって存在するのが磐陀石であり、西天臥石牛、二亀聴法石などの五十三参石なのである。
◎説法台石に観音様が鎮座なさっていれば、ちょうど後光は朝日であることが判る。普陀山では、普陀山十二景の一つとして、『磐陀夕照』が知られるけれども、本当は朝日が刺す説法台石こそがその本来の姿なのかも知れない。一度は確認する必要がある。
●前回、普陀山西天香道を歩いた時、磐陀石や二亀聴法石については、詳しく書いている。そちらも併せて参照されたい。
・書庫「普陀山・洛迦山」:ブログ『磐陀石』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/36938814.html
・書庫「普陀山・洛迦山」:ブログ『二亀聴法石』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/36937513.html