○前回、もっともよく知られる楚辞として「漁父」を案内した。しかし、司馬遷が『屈原賈生列傳第二十四』『太史公曰』で楚辞として評価しているのは、「離騷」であり、「天問」、「招魂」、「哀郢」であることが判る。
○この評価は、ある意味、正しい。昭明太子の「文選」にしたところで、「文選」『卷第三十二 騷上』『卷第三十三 騷下』に、楚辞を載せるが、その冒頭は『離騷經』から始まっている。楚辞を代表する作品と言えば、やはり『離騒』を挙げるしかない。
○中国の検索エンジン百度の百度百科が載せる「離騷」は、次の通り。
离骚[lí sāo]
【百科名片】
《离骚》是战国时期著名诗人屈原的代表作,是中国古代诗歌史上最长的一首浪漫主义的政治抒情诗。
诗人从自叙身世、品、理想写起,抒发了自己遭谗言被害的苦闷与矛盾,斥责了楚王昏庸、群小猖獗
与朝政日非,表现了诗人坚持“美政” 理想,抨击暗现实,不与邪恶势力同流合污的斗争精神和至
死不渝的爱国热情。
【名词释名】
《离骚》是《楚辞》的代表作,共373句,是中国第一首由诗人自己创作的独立完成的带有自传性质
的长篇抒情诗,也是中国文学史上最长的抒情诗。风骚,风指《诗经》中的《国风》,骚指《楚辞》中
屈原的《离骚》,后代用来泛称文学。
《离骚》是战国时楚国诗人屈原晚年的作品。关于离骚命题之意,据统计有66种说法,现举出有代表
性的五种:
“標认为:“离,犹遭也。骚,忧也。明已遭忧作辞也。”即离骚,遭忧。
钱澄之认为:“离为遭;骚为扰动。扰者,屈原以忠被馋,志不忘君,心烦意乱,去住不宁,
故曰骚也。”
游国恩认为离骚即楚国古曲名《劳商》。 文征明手书《离骚》
の唸认为离骚即“牢骚”,“离”“牢”是双声字。
○また、別に、中国の「维基百科」が案内する『離騷』は、次の通り。
離騷
《離騷》是楚國詩人屈原的收录于《楚辭》中的著名作品,其准确寫作年份迄無定論。
全詩共373句,2490字,訴說屈原的政治理想,批評群小的誹謗打擊與楚王的妄信讒言,理想雖遭破壞,
但自己決不妥協。又設想上天下地,上叩帝閽,但天門不開,屈原陳志無路,於是有去國遠逝之想,又
望見自己的故鄉,最後決定以身殉國。
前半部敍述作者的身世、修養和抱負,追憶輔佐楚怀王時種種遭遇,藉此表明不同流合污,中段總結
歷上各國興衰旳經驗,認為政治應舉賢授能,最後訴說自己壯志未酬,求卜問卦以擇去路,最后以死明志。
对于《離騷》名称的本意有不同的解读,司馬遷在《史記·屈原列傳》中解釋為「離憂」;班固指
“離”為“罹”,解成「遭懮作辭」;王逸在《楚辭章句》中解釋為「別愁」;亦有人解釋為「楚國曲
名『勞商』的異寫」。
由于《离骚》的地位,“骚”字常被用作诗的别称,又或者与《诗经》中的国风并称“风骚”代表所
有诗歌,也有将诗人称为骚人。王恭曾挖苦說︰“名士不必須奇才,但使常得無事,痛飲酒,熟讀《離
騷》,便可稱名士。”
○日本のウィキペディアフリー百科事典には、「楚辞」の項目はあるが、「離騒」の項目すらない。「漁父」を読むのは簡単だが、「離騒」は全373句、2490字もあって、読み通すだけでも大変である。
○それに、読み通してみたところで、とんと意味が判らない。まるで知識がないので、一字一句、丁寧に語釈に従って読むしかない。だから、うんざりするほど時間を要するし、大変疲れる。
○折角であるから、その「離騒」の冒頭部分だけでも紹介しておきたい。
離騒
帝高陽之苗裔兮 帝高陽の苗裔、
朕皇考曰伯庸 朕皇考を伯庸と曰ふ。
攝提貞於孟陬兮 攝提孟陬に貞しく、
惟庚寅吾以降 惟れ庚寅に吾以て降れり。
皇覽揆餘初度兮 皇覽て餘を初度に揆り
肇錫餘以嘉名 肇めて餘に錫ふに嘉名を以てす。
名餘曰正則兮 餘を名づけて正則と曰ひ、
字餘曰靈均 餘を字して靈均と曰ふ。
○甚だ格調高い文章で、あまりに高雅であるが故に、まるで意味が解せない。ここまでで、わずか四行八句に過ぎない。今の私の力では、これだけを読むのに数時間は十分要した。これが延々と373句、2490文字も続くのである。読み終わった頃には、すっかり疲労困憊、意識朦朧となること間違いない。
○ついでに、「離騒」の末尾も掲載しておく。
抑志而弭節兮, 志を抑えて節を弭め、
神高馳之邈邈。 神高く馳せて之れ邈邈たり。
奏九歌而舞韶兮, 九歌を奏して韶を舞ひ、
聊假日以媮樂。 聊か日を仮りて以て婾楽す。
陟陞皇之赫戲兮, 皇の赫戲たるに陟陞し、
忽臨睨夫舊鄉。 忽ち夫の旧郷を臨睨す。
僕夫悲余馬懷兮, 僕夫悲しみ余が馬懐ひ、
蜷局顧而不行。 蜷局として顧みて行かず。
亂曰:已矣哉, 乱に曰く、已んぬるかな。
國無人莫我知兮, 国に人無く吾を知る莫し。
又何懷乎故都? 又何ぞ故都を懐はん。
既莫足與為美政兮, 既に与に美政を為すに足る莫し。
吾將從彭咸之所居。 吾将に彭咸の居る所に従はんとす、と。
○屈原を理解しようとすれば、最低でも、「離騷」「天問」「招魂」「哀郢」や「屈原賈生列傳第二十四」くらいは読まないと判らない。なかなか屈原理解も大変である。
○本当は、「離騷」原文くらい載せたかったのだが、原文だけで全373句、2490字もあるので、諦めるしかない。本ブログの字数制限は5000字となっている。