Quantcast
Channel: 古代文化研究所
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1914

佐伯

$
0
0


○前回『薩摩国名』について言及した。ついでにここで『佐伯』地名及び氏名(うじな)についても触れておきたい。『佐伯』は、現在、皆目意味不明の言葉となっている気がしてならない。第一「さえき」だと言うし、そうではなくて「さいき」だとおっしゃる方もいて、その読みからして安定していない。

○ウィキペディアフリー百科事典には、佐伯項目が存在する。
      佐伯
  佐伯(さえき、さいき)
  ・日本人の姓の一つ。佐伯氏。
  ・蝦夷の一つとされる民族。大和朝廷に協力的で、日本統一に貢献したと言われる。
  ・地名
   【さえき】
      ・広島県佐伯郡(さえきぐん)。かつて広島県西部に存在した郡。
       現:広島市佐伯区、大竹市、廿日市市全域および広島市西区、江田島市の一部。
      ・広島県広島市佐伯区(さえきく)。
      ・岡山県和気郡佐伯町(さえきちょう)。現:和気町。
      ・富山県魚津市佐伯(さえき)。同市西部、早月川東岸。
   【さいき】
      ・大分県佐伯市(さいきし)。1916年7月に「さえき」から「さいき」に改称
       (改称当時は南海部郡佐伯町)。
      ・広島県佐伯郡佐伯町(さいきちょう)。現:廿日市市。
       1982年4月1日に「さえき」から「さいき」に改称。
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E4%BC%AF

○まあ、何とも役に立たない情報と言うしかない。ただ、佐伯は氏名(うじな)であり、地名でもあることが判る。読みに「さえき」と「さいき」とがあることくらいか。

○ウィキペディアフリー百科事典には、別に、佐伯市項目と佐伯郡項目が存在する。その中で、気になることを取り上げてみたい。
      佐伯市
   佐伯市(さいきし)は、大分県の南東端に位置する市である。
  【「佐伯」の読み】
   本市の読みは「さいき」であり、地名・人名で一般的に使用されている通常の仮名表記の「さえき」
  (歴史的仮名遣では「さへき」)ではない。これは大正5年(1916年)7月に佐伯町会が、訛音に合わせ
  て表記を「さえき」から「さいき」に変更することを決定した[1]ためである。同様の事例として広島県
  佐伯郡佐伯町(さえきぐんさいきちょう。1982年に表記変更、2003年に合併により廃止)がある。
   しかし、同年10月25日に開業した鉄道院の日豊本線佐伯駅(さえきえき)や、昭和9年(1934年)に開
  隊した海軍の佐伯海軍航空隊(さえきかいぐんこうくうたい)のように、国が管轄する施設については
  この変更決定に従わず、本来の表記である「さえき(さへき)」が使用され(佐伯駅は昭和37年(1962
  年)1月15日に表記を「さいき」に変更)、昭和15年(1940年)の国勢調査報告書にもSaekiとローマ字
  が振られている。
   とはいえ、表記変更からおよそ100年を経過した今日では次第に区別が曖昧になっていき、1916年の表
  記改変以前に係る事柄(佐伯藩・佐伯城など)であっても、現行表記に合わせて「さいき」と書いてい
  る事例が多く見られる[2]。
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E4%BC%AF%E5%B8%82

      佐伯郡
   佐伯郡(さえきぐん)は、広島県(安芸国)にあった郡。
  【歴史】
   古代の安芸国にあった佐伯郡はもっと広く、現在の広島市安佐南区の大半と安佐北区の一部をも含ん
  でいた。平安時代末期ごろに佐東郡(後の沼田郡)と佐西郡に分割され、江戸時代の1664年(寛文4年)
  に西側の佐西郡が再度佐伯郡に改称された。郡名の由来は厳島神社の神主家の名前とされている。
  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%90%E4%BC%AF%E9%83%A1

●佐伯が「さえき」なのか「さいき」なのかは、重大な問題である。もともと佐伯は「さへき」と訓じて来た歴史が歴然と存在する。いくら慣用音読が「さいき」だからと言って、勝手に「さいき」に変更して良いものではない。

●それなら、佐伯表記が意味するところを考えるべきだろう。それから物事は出発するのが間違いない。ところが、どう考えても、佐伯表記は当て字だと考えるしかない。つまり、佐伯表記自体に格段の意味は存在しないのである。

●それに、佐伯地名は瀬戸内海を中心に、日本中に存在する。特別、此処が佐伯の原点だと言えるところも存在しないのである。よく知られた地名としては、上記したように、大分県の南東端に位置する市の佐伯市と広島県の佐伯郡がある。

●もう一つ、見逃せないのは弘法大師空海の出が佐伯直(さえきのあたい)であることだろう。出身地は讃岐国多度郡屏風浦善通寺である。このように見て来ると、佐伯地名及び氏名は宗教に関係するものと考えるしかない。

●上記佐伯郡項目に、「郡名の由来は厳島神社の神主家の名前とされている」とあるけれども、もともと厳島神社は神仏混淆の社であって、御祭神が辯才天であったことは、ここが日本三大弁才天として知られていることからも明らかだろう。

◎つまり、佐伯地名及び氏名を追い求め続けると辯才天信仰に辿り着く。その辯才天信仰の故郷が硫黄島であることは、以前、お話している。
  ・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『硫黄島:辯才天信仰の故郷』
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40759259.html

◎そういうふうに考えると、佐伯が何を意味するかが見えて来る。佐伯とは舎衞城を意味するとしか考えられない。このことについては、硫黄島が舎衞城であることと深く関係する。
  ・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『硫黄島が舎衞城であること』
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40792134.html

◎大分県の佐伯市と広島県の佐伯郡が、どうして佐伯市であり佐伯郡なのかは、佐伯の原義を知らない限り解明されまい。仏教を遡ると、佐伯はどう考えても舎衞城だとするしかない。もともと日本の舎衞城が硫黄島であることは間違いの無い話である。こういうことは仏教を追い求めない限り、理解できない。蛇足ながら、佐伯の読みは「しゃえき」が本当である。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1914

Trending Articles