○ウィキペディアフリー百科事典が案内する大和三山の順序が、
天香久山(あまのかぐやま、あめのかぐやま、152m)
畝傍山(うねびやま、199m)
耳成山(みみなしやま、140m)
となっているのに、驚いた。古来、大和三山は、
畝傍山
香具山
耳成山
と並べるのが常識である。
○それは、明らかに、文化庁が「国指定文化財等データベース」で、大和三山を次のように案内していることに基づくものであることは間違いない。
史跡名勝天然記念物:大和三山 香具山 畝傍山 耳成山
大和三山は奈良盆地の南部に位置し、香具山(152.4m)、畝傍山(199.2m)、耳成山
(139.7m)の3つの独立小丘陵から成る。香具山は多武峰から北西に延びる支稜線が浸食によ
り切り離され、独立丘陵として残存したもので、畝傍山と耳成山はそれぞれ沖積盆地底に位置する円
錐形のいわゆる死火山である。
○前回、そういう話をした。文化庁の「国指定文化財等データベース」に誤りがあるなど、誰も想像だにしていない。国の文化行政を掌る機関の公文書に間違いはあり得ない。それが常識だろう。
●当然、文化庁には文化庁なりの言い分があるだろう。おそらくそれは「万葉集」の記述に拠ったものと思われる。私見によれば、「万葉集」には香具山が十四回、畝傍山が六回、耳成山が三回記録されている。だから、この回数に拠って、香具山・畝傍山・耳成山と並べたものと思われる。
●如何にも、合理的な判断だと思われるかも知れない。しかし、大和三山の場合、そういう判断は、完全な誤りと言うしかない。小賢しい知恵など、大和三山には通用しないのである。それには、大和三山が何者であるかをしっかり認識する必要がある。少なくとも、文化庁の判断には、そういう認識が無い。
●大和三山には、畝傍山・香具山・耳成山と言う不動の順序が存在する。それは、古来、ずっと同じである。だから、誰もがその順序を遵守してきた。ところが文化庁は敢えてそれを破ろうとしたわけである。
●そういう古来の伝統的な順序よりも、「万葉集」の出現回数を選んだわけである。一見すると、如何にも学問的と言うか、科学的合理的みたいに思える。しかし、本当は、全然違う。大和三山は、あくまで畝傍山・香具山・耳成山と並べるべきなのである。「万葉集」の出現回数など、何の関係も無い。
◎それはどういうことかと言うと、大和国の中心が畝傍山だと言うことである。いわゆる世界の中心に存在するのが畝傍山なのである。だから、初代天皇である神武天皇の橿原宮は畝傍山の麓に存在するし、神武天皇の畝傍御陵も畝傍山の山麓に存在する。
◎畝傍山を中心とする世界観を確立させているのが「古事記」であり「日本書紀」である。文化庁はご存じ無いけれども、もともと、畝傍山は大和国の山ではない。奈良県橿原市に存在する畝傍山は、あれはレプリカであって、真実の畝傍山ではない。
◎本物の畝傍山は日向国に存在する。『きりしまのうねびやま』と言って、日向国では、一般に霧島山と称されている。畝傍山は、『うねびやま』と称されるくらいだから、どんな山よりも「うねって」いなくてはならない。ところが大和国の畝傍山は、まるで「うねって」いない。それに対して霧島山は26個もの山の集合体だから、どんな山よりも「うねって」いる。
◎畝傍山が大和三山の筆頭に来るには、当然、それなりの理由根拠が必要だろう。日向国の本物の畝傍山=霧島山には、十分過ぎる理由根拠がある。それは畝傍山=霧島山が天孫降臨の世界山であると言うことである。つまり、日本国は畝傍山=霧島山から始まっているのである。
◎このことについては、以下のブログで詳細な検証を加えているので、そちらを参照されたい。
・書庫「天孫降臨の世界山」:37個のブログ
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1215462.html?m=l&p=1
◎だから、大和三山がどういうものであるかを理解しない限り、大和三山の順序を変更することはできない。天孫降臨の世界山より先に来る山が日本にあることはあり得ない。つまり、文化庁は完全に誤っていると言うしかない。
◎大事なのは、誤りを放置しないことである。すでにウィキペディアフリー百科事典が文化庁の説を採用して誤りを重ねている。奈良県でも大和三山へ登ると、奈良県や橿原市の大和三山案内が完全に間違っている。その全ての原因は文化庁にある。まさか、文化庁の説明に間違いがあるなど、誰も疑わない。
◎これまで、何度か、この話は当古代文化研究所では指摘している。いまだに訂正されないのが残念である。さらに間違いが拡大するのを危惧する。だから、こうやって執念く論じるわけである。他意は無い。
◎大和三山とは何か。文化庁は『史跡名勝天然記念物:大和三山 香具山 畝傍山 耳成山』として認定することも大事だけれども、大和三山の本質を捉えることの方が遥かに重要だろう。是非ともそういう研究をお願いしたいものである。
◎ちなみに、当古代文化研究所での研究では、大和三山の本物は日向国に存在する、以下の山々である。
・うねびやま=霧島山(1700叩
・かぐやま=桜島山(1117叩
・みみなしやま=開聞岳(924叩
もっとも、大和三山が二つも存在すると何とも紛らわしい。それで日向国の本物は邪馬台国三山と命名して区別している。