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耳成山の地名由来

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○前回、橿原市のHPが案内する耳成山を案内した。
      耳成山
   平成17年に名勝指定された大和三山(やまとさんざん)と呼ばれる香具山(かぐやま)・畝傍山
  (うねびやま)・耳成山(みみなしやま)のうちの1つです。
   標高139.7m。火山の噴火で生まれた独立峰で、瀬戸内火山帯に属しています。
   万葉集では、「耳梨山」と書かれていました。風変わりな名前ですが、山の形からすると「耳無
  し」で、山裾のない、真ん丸い山ということになります。実際は、どの方向から見てもきれいな円
  錐形で耳成(余分なところがまったくない)というネーミングがぴったりのような感じがします。
  中腹に耳成山口神社があり、南麓に桜の美しい耳成山公園があります。
   万葉集では、中大兄皇子(なかのおおえのおうじ)が大和三山のことを詠んだ歌があります。
   「香具山は 畝火ををしと 耳梨と 相あらそひき 神代より 斯くにあるらし 
    古昔も 然にあれこそ うつせみも 妻をあらそふらしき」
  http://www.city.kashihara.nara.jp/kankou/own_kankou/kankou/spot/miminashiyama.html

○上記説明に、
   万葉集では、「耳梨山」と書かれていました。風変わりな名前ですが、山の形からすると「耳無
  し」で、山裾のない、真ん丸い山ということになります。実際は、どの方向から見てもきれいな円
  錐形で耳成(余分なところがまったくない)というネーミングがぴったりのような感じがします。
と言うふうに、耳成山の名の由来は説かれることが多い。とんでもない話である。

●「万葉集では、『耳梨山』と書かれていました。」とあって、何か「万葉集」の記録を根拠に、『耳無し』で、『山裾のない、真ん丸い山ということになります。』を強調するけれども、それで、『耳無し』が、『山裾のない、真ん丸い山ということになります。』と言うことになるわけでもない。いくら何でも、『山裾のない、真ん丸い山』を、『耳無し山』とは呼ばないだろう。それこそ『丸山(まるやま)』か『円山(まるやま)』で十分だろう。

●それに、「万葉集」が記録する耳成山は三カ所あって、次のようになる。
   碧媾鹸一 13)
   中大兄の三山の歌一首           中大兄三山歌一首
    香具山は  畝傍雄々しと        高山波 雲根火雄男志等
   耳成と   相争ひき          耳梨与 相諍競伎
  ◆碧媾鹸一 14)
   香具山と耳梨山とあひし時        高山与 耳梨山与 相之時
   立ちて見に来し印南国原         立見尓来之 伊奈美国波良
  (万葉集巻一 52)
   藤原宮の御井の歌              藤原宮御井歌
   (前略)
   耳成の 青菅山は              耳高之 青菅山者
   背面の 大御門に              背友乃 大御門尓
   宜しなべ 神さび立てり           宜名倍 神佐備立有(以下略)

●判るように、「万葉集」に於ける耳成山の全表記は、
  ー梨  ⊆梨山  耳高
であって、決して『耳梨山』だけではない。

●「万葉集」に於ける漢字表現、いわゆる万葉仮名は、基本当て字であって、それに意味を付加することには、十分な注意が必要である。

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