○立春詩の案内を続けている。今回案内するのは、岑參の『題苜蓿峰寄家人』詩である。
【原文】
題苜蓿峰寄家人
岑參
苜蓿峰邊逢立春
胡蘆河上淚沾巾
閨中只是空相憶
不見沙場愁殺人
【書き下し文】
苜蓿峰に題して家人に寄す
岑參
苜蓿峰の邊にて、立春に逢ふ、
胡蘆河の上にて、淚巾を沾らす。
閨中、只だ是れ、空しく相憶ふのみ、
沙場は見えざるも、人を愁殺す。
【我が儘勝手な私訳】
玉門關外の山である苜蓿峰を望みながら家族を思う
岑參
玉門關外の山、苜蓿峰の辺りで、ちょうど立春に出合った、
疏勒河の畔に佇み、一人寂しく淚がハンカチを濡らす。
西域の城塞にあって、私はただ妻子のことを、空しく思うことしかできない、
今、此処からは苜蓿峰を望むばかりで、荒涼とした砂漠は見えないけれども、
人を愁殺するほど、西域の砂漠の寂寥感は凄まじいものがある。
〇2017年5月に、銀川から敦煌・蘭州・吐魯番・乌鲁木齐と一人で旅した。その後10月にも、ほぼ同じコースを今度は四人で旅した。西域を一度は見てみたいと言う人が居て、連れ立って旅行したわけである。
〇今は、誰でも何時でも自由にできるところとなっている。しかし、岑參の時代には、西域は、まさに『人を愁殺する』地であったわけである。その岑參を吐鲁番火焰景区では、顕彰していた。
・書庫「维吾尔族の町:吐魯番」:ブログ『岑参』
https://blogs.yahoo.co.jp/sigureteikamoyama/41060754.html