○高適の詩を続けているが、今回は『塞上聞吹笛』詩である。
【原文】
塞上聞吹笛
高適
雪淨胡天牧馬還
月明羌笛戍樓
借問梅花何處落
風吹一夜滿關山
【書き下し文】
塞上にて吹笛を聞く
高適
雪淨きに、胡天、馬を牧して還れば、
月明きに、羌笛、戍樓にす。
借問す、梅花、何れの處よりか落つる、
風吹きて一夜、關山に滿つ。
【我が儘勝手な私訳】
雪が清らかな晩、辺境のこの地で、馬を放牧して帰ってきたところ、
月が明るい夜、羌族の笛の音が、物見櫓の彼方から聞こえてくるではないか。
ちょっとお尋ねしたい、この梅花の曲は、いったいどこから聞こえてくるのか、
春風が吹いてきて、今夜、この辺塞中に梅花の曲が響き聞こえている。
○李白に、『春夜洛城聞笛』詩がある。
誰家玉笛暗飛声
散入春風満洛城
此夜曲中聞折柳
何人不起故園情
○李白の『春夜洛城聞笛』詩の舞台が洛陽なのに対し、高適の『塞上聞吹笛』詩の舞台は辺塞となっている。笛も玉笛と羌笛の差がある。こう読み比べると、何とも面白い。