○陳子昂の『薊丘覽古贈盧居士藏用七首(並序)』、『登幽州臺歌』詩と見てきているが、陳子昂には連作『感遇詩三十八首』と言う大作があると言う。とても全部を案内できるものではないが、その幾つかを紹介したい。
○今回は、陳子昂『感遇詩三十八首』詩の其の五を、案内したい。
【原文】
感遇詩三十八首:其五
陳子昂
市人矜巧智
於道若童蒙
傾奪相誇侈
不知身所終
曷見玄真子
觀世玉壺中
窅然遺天地
乘化入無窮
【書き下し文】
感遇詩三十八首:其五
陳子昂
市人は、巧智を矜り、
道に於けるや、童蒙の若し。
侈を相誇るに傾奪して、
身の終る所を知らず。
曷ぞ玄真子を見て、
世の玉壺中を觀んや。
窅然として天地を遺れて、
化に乘じて、無窮に入る。
【我が儘勝手な私訳】
世間の人は功名や利祿に腐心し、豪を誇り富を爭うばかりで、
渾然とした神仙世界に関しては、まるで幼く、子供のようである。
世俗に染まり功利を貪ることにただ傾注するばかりで、
自らの人生など、考えたこともない。
どうして、世の人々は玄壺子の名を知っていて、
世を亘る術を身に付けようとしないのだろうか。
遥か遠くの将来を見据えて、現実世界を忘れて、
天地自然が万物をつくる働きに従って、永遠不滅の世界に没入しようではないか。
○其五詩は、陳子昂の『感遇詩三十八首』詩の中でも、代表作とも呼べる作品ではないか。その証拠に、中国の検索エンジン「百度」の『百度百科』には、「感遇·市人矜巧智」項目が存在し、特別にわざわざ其五詩を取り上げているくらいである。
感遇·市人矜巧智
此诗写集市商贩只知道为了功名利禄而勾心斗角,夸豪争富,浑然不知神仙世界的快活逍遥,潇洒自
在,讽刺了人的世俗与功利,表现了对神仙生活的慕,也蕴含着作者对现实社会的不满。
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