○前回、ブログ『大和地名と薩摩地名』を書いて、大和地名についても、かなり踏み込んだことを述べたつもりである。ここでは、枕詞から大和地名を考えてみたい。
○ブログを振り返ると、結構以前から、この問題については考えていることが判る。最も古いブログは、次のものになるのではないか。
・書庫「大和地名と薩摩地名」:ブログ『邪馬臺国ーヤマトの語義についてー』~2008年12月4日~
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/20243315.html
○その後も幾度となく、このことについては書いている。
・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『大和国名』~2016年8月2日~
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40537059.html
・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『そらみつ やまと』~2016年8月28日~
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40538539.html
・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『あきつしま やまと』~2016年8月29日~
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40540040.html
・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『しきしまの やまと』~2016年8月30日~
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40541668.html
○大和に掛かる枕詞は三つもある。
・そらみつ やまと
・あきつしま やまと
・しきしまの やまと
そんな言葉(地名)を別に聞いたことが無い。それほど大和は特別な言葉(地名)なのだろう。
○ただ、『枕詞そらみつ』・『枕詞あきつしま』・『枕詞しきしまの』には、それぞれ別個の文化や歴史が存在するような気がする。それを突き詰めて行くことで、逆に、大和地名がどういうものであるかが、解明されるのではないか。ここでは、そういうことを意図して、考えてみたい。
○『枕詞そらみつ』・『枕詞あきつしま』・『枕詞しきしまの』で、最も古いとされているのは、『枕詞そらみつ』である。岩波古語辞典には、『枕詞そらみつ』について、次のように載せる。
そらみつ[虚空見つ・天満つ]
〔枕詞〕国名「大和」にかかる。日本書紀に、ニギハヤヒノミコトが天の磐船(いはふね)に乗っ
て空から見下ろし、天降ったので、「空見つ大和」といったという起源説話がある。
○『枕詞そらみつ』の起源説話が「日本書紀」にあると言う。それを確認すると、神武天皇紀三十一年四月の条に、次のように載せる。
饒速日命、天磐船に乗りて、太虚を翔行きて、是の郷を睨りて降りたまふに及至りて、
故、因りて目けて、「虚空見つ日本の國」と曰ふ。
○この地名起源説話に拠ると、「虚空(そら)見つ日本(やまと)の國」と命名したのは、饒速日命だと言うことになっている。神武天皇が大和国へ来る前から大和国はすでに大和国であったことを説明するものである。
○しかし、この地名起源説話では、大和地名がどうして大和なのかをまるで案内しない。地名起源説話としては、甚だ不十分なものとなっている。説明の中心は、あくまで『枕詞そらみつ』となっている。
○この地名起源説話は、まるで信用できないものであることは理解している。ただ、この地名起源説話が「虚空(そら)見つ日本(やまと)の國」として、「大空から見た大和国」だとするのには、少し抵抗がある。
○おおよそ、枕詞は感動の産物である。ものの形容であったり、限定であったりと、様々な様相を見せるが、枕詞の根底には、必ず、恐ろしいほどの感動がある。それは、もちろん、現代人でさえ、感動させずにはおかない。
○そういう意味では、饒速日命の「虚空見つ日本の國」と言う説は、何とも弱い。誰が見ても聞いても、感動するものとなっていないからである。あくまで、地名起源説話であって、本物ではあるまい。
○第一、「日本書紀」の地名起源説話が大和地名を大和国に求めているところに無理がある。もともと大和地名は大和国のものではない。それを教えてくれるのが『枕詞そらみつ』であり、『枕詞あきつしま』、『枕詞しきしまの』なのである。
○ブログを振り返ると、結構以前から、この問題については考えていることが判る。最も古いブログは、次のものになるのではないか。
・書庫「大和地名と薩摩地名」:ブログ『邪馬臺国ーヤマトの語義についてー』~2008年12月4日~
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/20243315.html
○その後も幾度となく、このことについては書いている。
・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『大和国名』~2016年8月2日~
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40537059.html
・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『そらみつ やまと』~2016年8月28日~
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40538539.html
・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『あきつしま やまと』~2016年8月29日~
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40540040.html
・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『しきしまの やまと』~2016年8月30日~
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40541668.html
○大和に掛かる枕詞は三つもある。
・そらみつ やまと
・あきつしま やまと
・しきしまの やまと
そんな言葉(地名)を別に聞いたことが無い。それほど大和は特別な言葉(地名)なのだろう。
○ただ、『枕詞そらみつ』・『枕詞あきつしま』・『枕詞しきしまの』には、それぞれ別個の文化や歴史が存在するような気がする。それを突き詰めて行くことで、逆に、大和地名がどういうものであるかが、解明されるのではないか。ここでは、そういうことを意図して、考えてみたい。
○『枕詞そらみつ』・『枕詞あきつしま』・『枕詞しきしまの』で、最も古いとされているのは、『枕詞そらみつ』である。岩波古語辞典には、『枕詞そらみつ』について、次のように載せる。
そらみつ[虚空見つ・天満つ]
〔枕詞〕国名「大和」にかかる。日本書紀に、ニギハヤヒノミコトが天の磐船(いはふね)に乗っ
て空から見下ろし、天降ったので、「空見つ大和」といったという起源説話がある。
○『枕詞そらみつ』の起源説話が「日本書紀」にあると言う。それを確認すると、神武天皇紀三十一年四月の条に、次のように載せる。
饒速日命、天磐船に乗りて、太虚を翔行きて、是の郷を睨りて降りたまふに及至りて、
故、因りて目けて、「虚空見つ日本の國」と曰ふ。
○この地名起源説話に拠ると、「虚空(そら)見つ日本(やまと)の國」と命名したのは、饒速日命だと言うことになっている。神武天皇が大和国へ来る前から大和国はすでに大和国であったことを説明するものである。
○しかし、この地名起源説話では、大和地名がどうして大和なのかをまるで案内しない。地名起源説話としては、甚だ不十分なものとなっている。説明の中心は、あくまで『枕詞そらみつ』となっている。
○この地名起源説話は、まるで信用できないものであることは理解している。ただ、この地名起源説話が「虚空(そら)見つ日本(やまと)の國」として、「大空から見た大和国」だとするのには、少し抵抗がある。
○おおよそ、枕詞は感動の産物である。ものの形容であったり、限定であったりと、様々な様相を見せるが、枕詞の根底には、必ず、恐ろしいほどの感動がある。それは、もちろん、現代人でさえ、感動させずにはおかない。
○そういう意味では、饒速日命の「虚空見つ日本の國」と言う説は、何とも弱い。誰が見ても聞いても、感動するものとなっていないからである。あくまで、地名起源説話であって、本物ではあるまい。
○第一、「日本書紀」の地名起源説話が大和地名を大和国に求めているところに無理がある。もともと大和地名は大和国のものではない。それを教えてくれるのが『枕詞そらみつ』であり、『枕詞あきつしま』、『枕詞しきしまの』なのである。