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雪竇山雪竇資聖禅寺

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○雪竇寺の正式名称は、雪竇山雪竇資聖禅寺と言う。2013年10月15日、寧波在住の通訳・ガイドの李さんに伴われて、溪口雪竇山旅游中心から溪口雪竇山風景名勝区へと向かった。

○溪口雪竇山旅游中心から溪口雪竇山風景名勝区までは、およそ10辧まるで日本日光の伊呂波坂を思い出させる大変な山路である。王陽明が「雪竇山」詩に、
   窮山路断独来難    山を窮むる路は断にして、独り来ること難し。
   過尽千渓見石壇    千渓を過ぎ尽きるころ、石壇見はるる。
と書いているのも、諾なるかなと思う。ただ、現代は大型観光バスで立派に舗装された道を駆け上がるので、20分もあれば辿り着いてしまう。おそらく、昔はこの道程は一日掛かりの大変な道中であったに違いない。

○溪口雪竇山風景名勝区のバス停からきれいに整備された庭園を行くと、四阿があって、庭の池面の先に雪竇寺と金色に輝く巨大な弥勒菩薩が見えた。これが現代の溪口雪竇山風景名勝区の名物の風景であると李さんから説明を受けた。

○王陽明が「雪竇山」詩で、
   壑雷隠隠連岩瀑    壑雷は隠隠として、岩の瀑は連なり、
   山雨森森映竹竿    山雨は森森として、竹の竿は映じる。
と詠じ、
   莫訝諸峰倶眼熟    訝る莫き諸峰、倶に眼に熟く、
   当年曾向画図看    当に年曾々向かひて、図に画きて看るべし。
と詠った風景とは、まるで別物であることに驚く。

○元来、山水画が描く世界は、広大なる自然世界と微小なる人事と相場が決まっている。いくら人事が頑張ったところで、自然には遠く及ばない。そういう達観が山水画の描く風景である。それと全く相反する現代雪竇山の風景に、ただ呆然と呆れるしかない。

○中国の検索エンジン百度『百度百科』が案内する雪竇寺は次の通り。

      雪窦寺
   雪窦资圣禅寺即雪窦寺。
   雪窦寺,全称雪窦资圣禅寺,坐落于“秀甲四明”的雪窦山山心。它肇创于晋代,兴起于大唐,鼎盛
  于两宋,雪窦寺素由禅宗执帜,代有创获殊荣,南宋被敕为“五山十刹”之一,明代列入“天下禅宗十
  刹五院”之一,民国一度跻身“五大佛教名山”之一。
  【简介】
   雪窦寺,全称雪窦资圣禅寺(位于浙江省奉化市溪口镇西北),在溪口镇雪窦山上。晋时建于千丈岩
  瀑布口,称瀑布院。唐会昌元年移建今址。景福元年扩建,建筑规模宏大,佛殿斋堂,经阁钟楼,禅房
  藏室 ,丹数百楹,计6000多平方米,藏经阁藏经万卷。南宋时与杭州灵隐、天台国清、宁波天童诸寺
  齐名。明时被列为“天下禅宗十刹”之一。民国后香火日衰。1968年因蚁害而拆除。现建筑为20世纪80
  年代新建。寺前有古银杏2棵,寺后有张学良将军在被囚中植楠木2株,至今尤茂。
  【历史】
   雪窦资圣禅寺,位于国家级风景区浙江奉化溪口雪窦山中心。九峰环抱,瀑布齐鸣,景色秀丽,有
  “海上蓬莱,陆上天台”之誉。
   寺院创于晋、兴于唐、盛于宋,至今已有一千七百余年,在佛教史上居于重要地位。南宋时被定为
  “五山十刹”之一,明时被列入“天下禅宗十刹五院”,今称佛教第五大名山---弥勒道场。清末民
  初,丁福葆著佛学大辞典曰:近有人主张加奉化雪窦山为五大名山。1987年中国佛协赵朴初会长视察雪
  窦寺曾寄语:“雪窦乃弥勒应化之地,殿内建筑应有别于他寺,独建弥勒殿,”并称雪窦为五大名山。
  现在该寺已建弥勒殿。僧人早殿,绕念弥勒尊佛圣号,故称为弥勒道场。

○庭園を抜けて、雪竇寺前に出る。山門には『四明第一山』の扁額が掲げてあるのが見える。山門から中に入ったあたりで、急に激しい通り雨が降り出した。慌てて大慈摩尼宝殿へ駆け込んで雨を避ける。

○李さんは折り畳み傘を持参していた。私は折り畳み傘とレインコートまで持参している。二人とも折り畳み傘で参詣を続ける。大慈摩尼宝殿の裏側から、龍華広場を挟んで、燦然と金色に輝く巨大な弥勒菩薩を見上げることが出来た。

○李さんが「さあ、頑張って弥勒菩薩のところまで行きましょう」とおっしゃる。しかし、通り雨は激しく、容易に止む気配が無い。私は李さんに「あそこまで行くのは止めにしよう、ここから眺めるだけで十分です」と答える。雨に濡れてまで弥勒菩薩のところに行く必要を感じなかった。

○現代の雪竇山参詣では、大弥勒菩薩像を拝するのが最大の目的みたいになっているらしかった。しかし、私は雪竇山雪竇資聖禅寺参詣の為に、わざわざ日本から訪れたのである。李さんの厚意は有り難かったが、大弥勒菩薩像には、さほど興味が無かった。

○それよりも、私には雪竇資聖禅寺参詣の方がずっと大事だった。李さんが面白い話をしてくれた。雪竇資聖禅寺脇に、この巨大弥勒菩薩像が出来て、多くの人が雪竇資聖禅寺に全く参詣しないで帰って行くとの話である。それこそ「仁和寺にある法師」そのものである。

○それほど、雪竇山の大弥勒菩薩像は目立つ存在である。山門から真っ直ぐ大慈摩尼宝殿を抜けた先に建つ大弥勒菩薩像は、誰が見ても雪竇資聖禅寺のご本尊のような様となっている。

○その大慈摩尼宝殿脇に、肝心の雪竇資聖禅寺は存在する。大弥勒菩薩像や大慈摩尼宝殿があまりに立派で大きいものだから、そちらが雪竇資聖禅寺だと錯覚してしまう。

○大弥勒菩薩像や大慈摩尼宝殿に比べると、雪竇資聖禅寺はまるで慎ましい。しかし、それでも結構大きい建物であった。ただ、全体に新しく、古寺の風格はまるで感じられない。

○雪竇資聖禅寺の存在するところは、天台山国清寺や化城寺などとも、まるで異なる立地条件にある。高くて広い岩盤の上に存在するのが雪竇資聖禅寺で、境内そのものがまるで明るく、西洋公園のような趣きがある。何か、私が王陽明が「雪竇山」詩からイメージしていたものとは、全然異なる気がした。

○李さんに案内されて、雪竇資聖禅寺境内を、天王殿から弥勒殿、大雄宝殿と一通り参詣して廻った。ここが雪竇重顕の住持していた寺である。今から1000年ほど昔の話である。すでに中国ではこの時代に禅宗が隆盛を極めている。

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