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続々・卑弥呼の肖像

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○前回、「邪馬台国の風景」で触れたように、薩摩半島が邪馬台国であり、狗奴国が大隅半島と言うことは、「魏志倭人伝」を読む限り、間違いない。邪馬台国畿内説とか、邪馬台国北九州説は、まるで何の根拠もない話と言うしかない。

○その証拠に、邪馬台国畿内説とか、邪馬台国北九州説で取り上げられる論拠は、三世紀の遺跡とか遺物の話ばかりである。それは三世紀の遺跡とか遺物であるかも知れないが、邪馬台国とは何の関係もない。そういうごまかしで無邪気に学者先生が邪馬台国に言及なさる。それほど邪馬台国は魅力的な存在なのである。

○何しろ、邪馬台国とか卑弥呼とか掲げるだけで、マスコミを始め、世間の注目を集めることができる。まさに、羊頭狗肉が現在の邪馬台国論争と言って良い。それに各自が自説を述べるだけで、他者の意見などまるで考慮しないのだから、それは論争にもならない。

○もともと、邪馬台国や卑弥呼は日本の歴史の一コマである。それが三世紀に中国の史書「魏志倭人伝」に書かれている。日本の最古の歴史書は八世紀に書かれた「古事記」であり、「日本書紀」だとされる。それなら、当然、邪馬台国や卑弥呼は「古事記」や「日本書紀」に登場するはずである。

○ところが、「古事記」や「日本書紀」本文には邪馬台国も卑弥呼も登場しない。それで誰もが困ってしまい、いろいろな歴史上の人物を卑弥呼に当てようとする。その中の一人が、第七代孝霊天皇の皇女、倭迹迹日百襲姫命で、彼女の大市墓が奈良県桜井市箸中に存在し、箸墓と呼ばれる。

○卑弥呼の墓=箸墓説を最初に唱えたのは、笠井新也の「卑弥呼即ち倭迹迹日百襲姫命」(1924年)である。当時は画期的な考えであったに違いない。しかし、「魏志倭人伝」を読む限り、邪馬台国が畿内に存在すること自体があり得ない話なのである。

○それに、記紀が伝える倭迹迹日百襲姫命の生涯や業績は、まるで卑弥呼の生涯や業績と異なるものであることにも留意すべきであろう。「魏志倭人伝」を読む限り、卑弥呼は倭国の象徴的存在となっている。記紀が案内する倭迹迹日百襲姫命には、まるでそういうものが見えない。

○もちろん、「古事記」や「日本書紀」がある作為をもって書かれた史書であることにも十分留意する必要がある。それは男系社会として記紀が綴られていると言うことである。しかし、古代に於いて、日本は男系社会ではなかったと言う事実がある。平安時代に於いてさえ、日本は妻問婚であった。そういう社会であったのにも拘わらず、何故か記紀は男系社会として歴史を綴っている。

○邪馬台国の末裔が大和朝廷を打ち立てた。邪馬台国と大和国の名から考えれば、誰でもそう考える。しかし、歴史はそう単純ではない。史実を遡ると、大和朝廷は狗奴国によって打ち立てられたと考える方が理に適っている。何故なら、初代天皇となる神倭伊波礼琵古命の出身は狗奴国とするしかないからである。

○しかし、国名を考えた場合、邪馬台国から大和国への移行はどうしても避けられない。それでも、邪馬台国から大和国が誕生したことは間違いあるまい。何故なら、邪馬台国は当然、女系社会であったからである。だから、当然、国名も女系社会から継承されたものであることが判る。決して男系社会の継承ではなかったことになる。

○「古事記」や「日本書紀」が卑弥呼を描かない理由もそこにある。それでも卑弥呼は今でも日本中で祀られている。そういうふうに言うと、誰もが不思議に思われるかも知れない。しかし、卑弥呼ほどの人物が歴史に埋没するとは考えられない。意外に歴史は正直なのである。

○卑弥呼は誰か。それは日本歴史に残されている女系社会を辿るしかない。それは次のようになる。

  ・大山祇神→木花開耶姫→豊玉姫→玉依姫

おそらく、卑弥呼は大山祇神であろう。その娘とされる木花開耶姫でもかまわないわけだが。

○もちろん、大山祇神にも故郷がある。現在、愛媛県今治市大三島町宮浦に大山祇神社が鎮座ましまし、静岡県三島市大宮町には三嶋大社が鎮座まします。それで、大山祇神社や三嶋大社が大山祇神社や三島神社の総本社とされている。しかし、本来、大山祇神の故郷は南九州にある。住所は、鹿児島県鹿児島郡三島村硫黄島硫黄岳である。

○これまで、硫黄島には6回訪れている。
  ・2009年5月30日(土)
  ・2009年6月11日(木)
  ・2010年10月30日(土)・31日(日)
  ・2011年3月13日(日)から18日(金)
  ・2011年11月25日(金)から29日(火)
  ・2012年8月22日(水)

○だから、硫黄島についてはうんざりするほど書いている。参照されたい。
  ・書庫「三島村・薪能「俊寛」」:38個のブログ
  ・書庫「硫黄島」:42個のブログ
  ・書庫「三島村秘史」:30個のブログ
  ・書庫「Camellian硫黄島」:30個のブログ
  ・書庫「ツワブキの硫黄島」:33個のブログ
  ・書庫「竹島・硫黄島・黒島」:20個のブログ

○これまで、「卑弥呼の肖像」も幾つか書いている。
  ・書庫「安芸・宮島・弥山」:ブログ『卑弥呼の肖像』
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/35358732.html
  ・書庫「邪馬台国検証」:ブログ『続・卑弥呼の肖像』
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/35471697.html

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