○揚州大明寺の売店に書籍コーナーがあって、「大明寺」(馬家鼎・周澤華・周鑫著)、「揚州文選」(馬家鼎著)、「揚州詩咏」(李保華著)などの本を買って来た。一通り、読んでみたが、印象に残る詩文が多い。
○揚州文学については、昨年揚州を初めて訪問した際、すでに以下のように案内している。
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『隋煬帝:春江花月夜』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38810576.html
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『張若虚:春江花月夜』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38812978.html
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『杜牧:揚州三首』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38815399.html
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『杜牧:遣懷』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38819595.html
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『杜牧:寄揚州韓綽判官』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38822365.html
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『杜牧:贈別』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38825149.html
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『杜牧:贈別其二』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38827326.html
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『杜牧:嘆花』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38829965.html
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『杜牧:題揚州禅智寺』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38832001.html
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『杜牧:張好好詩』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38834715.html
○これ以上、揚州文学について言及する必要も無い気もするけれども、ブログ『杜牧:張好好詩』に拠って、今回遥々南昌まで出掛けて来た。南昌は、張好好の故郷である。「揚州文選」(馬家鼎著)、「揚州詩咏」(李保華著)を読んで、気になった詩を幾つか紹介しておきたい。
●最初に案内するのは、無名氏「長干曲」である。「長干曲」と言えば、崔が有名だし、李白にも「長干行」がある。中国の検索エンジン百度の「百度百科」が案内する『長干曲』は、次の通り。
长干曲
《长干曲》是南朝乐府中“杂曲古辞”的旧题。崔颢这两首诗继承了前代民歌的遗风,但既不是艳丽
而柔媚,又非浪漫而热烈,却以素朴真率见长,写得干净健康。女主角的抒怀只到“或恐是同乡”为止,
男主角的表情也只以“生小不相识”为限。这样的蕴藉无邪,是抒情诗中的上乘。
http://baike.baidu.com/view/1103843.htm?fr=aladdin
●長干は、南京の地名である。「長干曲」自体が楽府題でもある。また「長干曲」は長江下流一帯の民謡の意ともなっている。無名氏「長干曲」は南朝の古歌である。
【原文】
長干曲
南北朝:無名氏
逆浪故相邀
菱舟不怕遙
妾家揚子住
便弄廣陵潮
【書き下し文】
長干曲
南北朝:無名氏
逆浪は故らに相邀しく、
菱舟は遙かなるを怕れず。
妾家は揚子に住まひ、
便ち廣陵潮に弄さる。
【我が儘勝手な私訳】
舟の正面から立ち向かって来る逆波がどんなに激しくとも、
私は自慢の小舟に乗って何処までも行くことが出来ます。
何しろ私が生まれ育ったのは揚州の揚子村で、
兎に角年中、荒波で有名な廣陵潮に弄ばれているところですから。
◎それこそ「揚州(ヤンシュウ)」育ちのうら若い女性の詠歌である。揚子江は彼女らの庭であり、生活の場でもあった。なかなか中国女性は逞しい。
◎李白や崔の詠歌も素晴らしいが、こういう庶民の歌が記録されているのが何とも楽しい。まさしく無名氏の名に相応しい歌である。格別、老子や荘子が言及しなくても、中国の何処にだって、道士は存在するのである。