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王士禎:紅橋二首

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○中国の揚州、大明寺の売店で購入した「揚州詩咏」(李保華著)を読んでいる。「揚州詩咏」が最も多くの作品を載せているのは、王士禎の五作品である。前回、王士禎の「浣渓沙・紅橋」詞を紹介した。今回は、引き続き、王士禎の「紅橋二首」を案内したい。

  【原文】
      紅橋
      王士禎
    舟入紅橋路
    垂楊面面風
    銷魂一曲水
    終古傍隋宮

  【書き下し文】
      紅橋
      王士禎
    舟は入る、紅橋路、
    垂楊に面面たる風。
    銷魂す、一曲水、
    終古、隋宮の傍らに。

  【我が儘勝手な私訳】
    揚州の町から出掛けて、舟が紅橋への水路に入ると、
    突然、枝垂れ柳に、順々に風が吹いて行くのを見る。
    あまりの美しさに茫然となる、この紅橋の景色は、
    紅橋は、遙か昔からずっと隋宮の傍らに存在する。

  【原文】
      紅橋
      王士禎
    水榭迎新秋
    素舸自孤往
    漠漠柳綿飛
    時時落波上

  【書き下し文】
      紅橋
      王士禎
    水榭は新秋を迎へ、
    素舸は自から孤往。
    漠漠と柳綿の飛び、
    時時波の上に落つ。

  【我が儘勝手な私訳】
    紅橋の水辺の四阿に今年も秋が訪れ、
    紅橋の水路を、飾りの無い舟を一艘浮かべて進むと、
    岸辺の柳樹からは、とりとめもなく白い柳絮が飛び、
    柳絮は飛んで、そのまま紅橋の水路へと落ちている。

○紅橋は明王朝の最後の皇帝、朱由検の崇禎年間に建設されたもので、広陵城の西北二里に存在し、当時は、名所であったらしい。現在は残っていない。王士禎は、「浣渓沙・紅橋」詞、「紅橋二首」に、紅橋を詠じている。

○王士禎の「浣渓沙・紅橋」詞と「紅橋二首」を読み比べると判ることだが、「紅橋二首」より「浣渓沙・紅橋」詞の方が格段に優れる。王士禎は詩より詞を得意としていたことが判る。

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