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王士禎:再過露筋祠

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○「揚州詩咏」(李保華著)が載せる、王士禎の「浣渓沙・紅橋」詞、「紅橋二首」詩と続けているが、今回は「再過露筋祠」詩を案内したい。

  【原文】
      再過露筋祠
        王士禎
    翠羽明珰尚儼然
    湖雲祠樹碧如煙
    行人系纜月初堕
    門外野風開白蓮

  【書き下し文】
      再び露筋祠を過ぐ
        王士禎
    翠羽と明珰と、尚ほ儼然たり、
    湖雲の祠樹は、碧煙の如し。
    行人の系纜するに、月初めて堕つ、
    門外の野風に、白蓮開く。

  【我が儘勝手な私訳】
      揚州の北隣、高郵市に存在する露筋祠を再び通り過ぎる時の詩
    露筋祠の神像は、頭飾りと耳飾りを着けて、極めて神々しい御姿である。
    湖上には雲が浮かび、露筋祠の木々は緑一色に、御堂を包んでいる。
    私が露筋祠近くに舟を繋ぐと、ちょうど月が昇り、湖面に浮かぶ、
    露筋祠門外から、颯爽と微風が吹いて来て、風に煽られて白蓮花が咲き始める。

○王士禎の「再過露筋祠」詩は、中国では知られた作品であるらしく、中国の検索エンジン百度の「百度百科」には、「再過露筋祠」詩項目が存在する。

      再过露筋祠
   《再过露筋祠》是清初文学家王士祯所题写的一首诗作。该诗描写了诗人路过露筋祠时的所见所闻,
  表达了诗人对露筋祠中所供奉的这位女子贞洁不屈的品性的赞美。
  【注释译文】
   ]筋祠:在今江苏高邮。王象之《舆地纪胜》记载:“露筋祠去高邮三十里。旧传有女子夜过此,
    天阴蚊盛,有耕夫田舍在焉。其嫂止宿。姑曰:‘吾宁死不失节。’遂以蚊死,其筋见焉。”
   ⊃蕷:指头饰。明珰:指耳环。
  【作品鉴赏】
   这首诗首句写祠中神像,采取了避实就虚之法。诗人不直接描摹神像塑造得如何,她的仪容怎样,而
  只是用一些美丽的妆饰来衬托她的风姿,则神像之美就不言而喻。起句点题,下三句就宕开去写。祠在
  湖边,湖上的云,祠畔的树,四望一碧,如在雾中,景色幽美,情韵飘渺。而诗人经过这里,停船夜泊
  的时候,正值月落。祠门之外,平野的风徐徐地吹拂着。这时,白莲开放了。静夜残月,郊野微风,行
  人远来,白莲正放,这是多么美好的境界。诗人所面对的是一个为了所谓贞节而牺牲了性命的女子,但
  他巧妙地避开了对这一问题的正面议论,而是从题外取神,着重于祠堂外边景色描写,而以白莲暗喻这
  位姑娘的纯洁而已。这种手法,在作者是若有若无,在读者可见仁见智,但都情景交融,泯合无间。
  http://baike.baidu.com/view/8587157.htm?fr=aladdin

○日本人の私には、露筋祠が何処に存在し、どういうものであるかは、皆目判らない。そう言う意味で、上記の「百度百科」は、大いに参考にさせていただいた。高郵市は揚州の北隣に隣接し、以前、案内した秦観の故郷である。
  ・書庫「痩西湖・个園」:ブログ『秦観:望海潮・広陵懐古』
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/39205541.html
  ・書庫「痩西湖・个園」:ブログ『秦観:夢揚州』
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/39207349.html

○露筋祠の起源由来も、甚だ気になる。「百度百科」には、次のように載せているけれども。
  ・露筋祠去高邮三十里。旧传有女子夜过此,天阴蚊盛,有耕夫田舍在焉。其嫂止宿。
   姑曰:‘吾宁死不失节。’遂以蚊死,其筋见焉。”

○普陀山にも、「短姑聖跡」の話が残されている。
  ・書庫「普陀山・洛迦山」:ブログ『短姑圣迹』
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/36894173.html

○天台山国清寺の隋梅の話も面白い。
  ・書庫「天台山国清寺」:ブログ『隋梅異聞』
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/36491547.html

○ただ、「百度百科」が載せる露筋祠の話は、短か過ぎて、今一つ、話が見えて来ない。勝手に話を膨らませるのも、どうかと思うので、想像するしかない。かえって、気になる。

○王士禎の「再過露筋祠」詩は、なかなかよく出来ている。2014年6月に揚州を訪問した。蓮花の時期で、見事な蓮花を各所に見掛けた。そういう蓮花を実に上手に詠っている。

○周敦頤は「愛蓮説」で、
  菊花之隠逸者也、
  牡丹花之富貴者也、
  蓮花之君子者也。
と詠じるけれども、それが実感出来るのが、7月の揚州痩西湖である。王士禎の「再過露筋祠」詩のなかの嫂女も、君子だと王士禎は言いたいに違いない。

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