○中国の揚州、大明寺の売店で購入した「揚州詩咏」(李保華著)について、これまで、『無名氏:長干曲』から32個のブログを、長々と書いてきた。「揚州詩咏」には、まだまだ面白い詩が幾らでも存在する。それ程、揚州文学は豊かだと言うことなのだろう。
○2013年10月に初めて揚州を訪問した際に、
・欧陽脩:朝中措・平山堂
・蘇軾:谷林堂
・隋煬帝:春江花月夜
・張若虚:春江花月夜
・杜牧:揚州三首
・杜牧:遣懷
・杜牧:寄揚州韓綽判官
・杜牧:贈別
・杜牧:贈別其二
・杜牧:嘆花
・杜牧:題揚州禅智寺
・杜牧:張好好詩
については、以下のブログで既に案内済みである。
・書庫「鑑真和上の揚州」:30個のブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1241671.html?m=l&p=1
○このうち、『欧陽脩:朝中措・平山堂』と『蘇軾:谷林堂』は重複して載せているから、書庫「鑑真和上の揚州」と書庫「痩西湖・个園」とで、合計42個の詩詞について言及したことになる。およそ、揚州文学がどんなものであるかくらいは、案内出来たのではないか。
○揚州文学の最後として、今回案内するのが、汪の「詠保障河」詩である。中国の「百度百科」には、汪について、次のように載せる。
汪
汪,[清](约公元一七三六年前后在世)字西颢(一作西灏),一字师李,号槐堂(一作槐塘),
浙江钱塘人。生卒年均不详,约清高宗乾隆初前后在世,年八十一岁。
【主要成就】
汪使之出名的是一首《咏保障河》:垂杨不断接残芜,雁齿虹桥俨花图。也是销金一锅子。故应唤
作瘦西湖。从而使得扬州的瘦西湖名扬天下。
http://baike.baidu.com/view/220070.htm?fr=aladdin
○前に紹介していることだが、インターネットの「百度旅游」、『2014超实用扬州旅游攻略』に拠れば、揚州旅遊のランキングは、
瘦西湖 何园 P园 ぢ臾聖´ナ絃阁
茱萸湾 冶春园 扬州古运河 凤凰岛 汉陵苑
となっている。つまり、揚州最大の観光名所が瘦西湖と言うことになる。その瘦西湖のネーミングとなったが汪の「詠保障河」詩である。
【原文】
詠保障河
汪
垂楊不斷接殘蕪
雁齒虹橋儼花圖
也是銷金一鍋子
故應喚作瘦西湖
【書き下し文】
保障河を詠む
汪
垂楊は不斷に殘蕪に接し、
雁齒虹橋は、花圖に儼たり。
是や銷金の一鍋子、
故れ、應に瘦西湖と喚び作すべし。
【我が儘勝手な私訳】
枝垂れ柳は絶えることなく地面に残った草花まで接し、
石橋やその欄干が花園の中に儼然としている。
それはまるで金を溶かして作った立派な鍋のようである、
これはまさに瘠せた西湖とでも呼び称すべき見事な風景である。
○実は、汪の「詠保障河」詩は、昨年揚州を訪れた時に、以下のブログで既に案内済みである。
・書庫「鑑真和上の揚州」:ブログ『痩西湖』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/38790502.html
○揚州最大の観光名所、痩西湖は、汪の「詠保障河」詩に拠って一躍脚光を浴びることとなった。それ程、言葉の力と言うものは凄まじい。そういう意味で、揚州文学の一つとして、汪の「詠保障河」詩は欠かせないと判断する。
○「揚州詩咏」(李保華著)が案内するように、やはり、揚州文学の粋は、杜牧であり、欧陽脩・王安石・蘇軾であり、王士禎なのではないか。それ程、豊かな文学が揚州には存在する。