○前回の、皮日休「洛中寒食二首(其一)」詩に引き続き、同じ皮日休の「洛中寒食二首(其二)」詩を見てみたい。
【原文】
洛中寒食二首(其二)
皮日休
遠近垂楊映鈿車
天津橋影壓神霞
弄春公子正回首
趁節行人不到家
洛水萬年雲母竹
漢陵千載野棠花
欲知豪貴堪愁處
請看邙山晚照斜
【書き下し文】
洛中寒食二首(其二)
皮日休
遠近に楊の垂れ、鈿車を映し、
天津橋の影は、神霞を圧す。
弄春の公子は、正に首を回らし、
趁節に行人は、家に到らず。
洛水は万年、雲母の竹、
漢陵は千載、野棠の花。
豪貴を知らんと欲し、愁ひに堪ふる処、
邙山を看んと請ふも、晩照は斜めなり。
【我が儘勝手な私訳】
おちこちに柳枝の垂れ下がる下を、煌びやかな飾り車が走り、
洛陽洛河に架かる天津橋の姿は、霞の中に美しい。
春を楽しむ皇族の若者達は、あちこち行くところが多いし、
清明節を楽しむ旅人は、家に帰ることを忘れてしまう。
洛水上流は、昔から雲母竹の産地で有名だし、
孟津県黄河河畔の漢陵は、棠梨の花が美しい。
嘗ての洛陽の栄華を懐かしみ、物思いに耽りながら、
洛陽の北、邙山を見ようとすると、ちょうど夕陽が沈んで行くのを見る。
○二十年以上昔に、洛陽には行ったきりで、すっかりご無沙汰であった。昨年八月に、随分久し振りに洛陽を訪れたが、古都洛陽は、変わらず健在であった。ただ、洛陽の町中の変容は凄いものがあった。
○ただ、古都洛陽は、一日二日で全体を見ることは到底適わない。この皮日休の「洛中寒食二首(其二)」詩に出て来る天津橋や孟津にしたところで、未見である。普通の観光客が目にするのは、龍門の石窟や白馬寺くらいがせいぜいである。
○一回くらい、洛陽や西安で一週間とか十日を過ごしてみたい。思う存分、古都洛陽を楽しみたい。そう思っているが、なかなか夢は実現しない。