○清明節寒食節文学の67番目として、今回は孟浩然の「清明即事」詩を案内したい。
【原文】
清明即事
孟浩然
帝里重清明
人心自愁思
車聲上路合
柳色東城翠
花落草齊生
鶯飛蝶雙戲
空堂坐相憶
酌茗聊代醉
【書き下し文】
清明即事
孟浩然
帝里は重ねて清明、
人心は自ら愁ひを思ふ。
車声は路上に合し、
柳色は東城に翠なり。
花は落ち、草は斉しく生え、
鴬の飛び、蝶は双で戯むる。
空しき堂に、相憶ひて坐し、
茗を酌み、聊か代りに酔ふ。
【我が儘勝手な私訳】
帝里長安に今年も清明節が訪れ、
長安の人々は今年もまた春愁に暮れながら生活している。
長安の町には車が多く往来しているけれども、
長安の東側の町が特に柳色が青々としている。
春の花が散り、春草が何処でも繁殖している季節で、
春の鳥、ウグイスが飛び、春のモンシロチョウは二羽で舞踊している。
誰も居ない部屋の中に一人座し、物思いに耽っていると、
お茶しか飲んでいないのに、何だか酔ったような気分になることだ。
○「百度百科」に拠れば、帝里は、
帝里
《晋书·王导传》:“ 建康 ,古之 金陵 ,旧为帝里,又 孙仲谋 、 刘玄 俱言王者之宅。
帝里【dì lǐ】犹言帝都,京都。
” 唐 李百药 《赋得魏都》诗:“帝里三方盛,王庭万国来。” 明 张居正 《祭封一品严太夫人
文》:“跂予望之, 章江 之陬;白云紫气,帝里皇州。” 清 金人瑞 《春感》诗之一:“忽承帝里
来知己,传道臣名达圣人。”
http://baike.baidu.com/view/3769495.htm
とあるから南京かも知れないが、諸本が長安だと指摘するので、それに従った。
○この孟浩然の「清明即事」詩については、『百度百科』には、
清明即事
此诗除《全唐诗》外,诸本皆不载,似非孟浩然所作。
http://baike.baidu.com/view/10122066.htm
と載せていて、更に『酌茗聊代醉』についても、
茗:茶。按,饮茶之风,似始盛于中唐以后,盛唐时尚不多见。
と紹介しているから、甚だ怪しい気もする。
○しかし、それでも面白い詩であることには代わりはない。それでここに掲載しておく。