○前回案内した、張籍の「同錦州胡郎中清明日對雨西亭宴」詩は、14文字もの長い詩題であったが、この張繼の「清明日自西午橋至瓜岩村有懷」詩も、13文字もあって、頗る長い詩題となっている。ある意味、詩題だけで、一つの詩想を描き出しているとも、言えよう。
○中国の検索エンジン百度の百度百科には、「清明日自西午橋至瓜岩村有懷」項目も存在する。ただ、ほとんど役には立たない。
清明日自西午桥至瓜岩村有怀
《清明日自西午桥至瓜岩村有怀》是唐代时期的一首五言绝句,作者是张继。
作品名称: 清明日自西午桥至瓜岩村有怀 创作年代: 唐代
文学体裁: 五言绝句 作者: 张继
http://baike.baidu.com/view/7873545.htm
○張繼の「清明日自西午橋至瓜岩村有懷」詩は、次の通り。
【原文】
清明日自西午橋至瓜岩村有懷
張繼
晩霽龍門雨
春生汝穴風
鳥啼官路靜
花發毀垣空
鳴玉慚時輩
垂絲學老翁
舊游人不見
惆悵洛城東
【書き下し文】
清明日に、西午橋より瓜岩村に至るに懐有り
張継
晩に竜門の雨は霽れ、
春は汝の穴に風を生ず。
鳥は官路の静かなるに啼き、
花は毀れた垣に空しく発す。
鳴玉は慙時の輩なるも、
垂絲は学老の翁。
旧遊は、人見ずして、
洛城東は惆悵す。
【我が儘勝手な私訳】
夕方になって、龍門の雨はようやく止んだようで、
春は貴方の感覚の全てに吹き寄せて来る風となる。
春の鳥は、閑静な大路で大声で啼き騒いでいるし、
春の花は空き家の毀れた垣根に空しく咲いている。
爆竹は、一時楽しむだけの何とも騒々しいものだが、
枝垂れ柳は、年老いた学者のような落ち着いた風情を見せている。
嘗て遊んだこの懐かしい場所には、今はほとんど人も見えなくて、
洛陽の東の郊外が、何とも物寂しい場所となっていることに驚く。
○『西午橋』とか『瓜岩村』の地名が気になって仕方が無いのだが、日本に居ては調べようも無い。昨年8月に洛陽へは訪れたばかりである。今度洛陽を訪問するまで待つしかない。
○詩中の龍門は洛陽の南に位置し、洛城東は、当然洛陽の東を意味するのであろう。昨年8月には、その龍門石窟及び香山寺の白居易のお墓へ参詣した後、白馬寺へお参りした。その白馬寺の住所は、
河南洛阳白马寺位于河南省洛阳老城以东12公里处
とある。張繼の「清明日自西午橋至瓜岩村有懷」詩が描く世界がどのようなものであったか、気になって仕方がない。
○張繼と言えば、何と言っても「楓橋夜泊」だろう。本ブログでは、2011年に蘇州を訪問した際に、以下のように書いている。
・書庫「江南の秋」:ブログ『姑蘇城外寒山寺』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/35932665.html
○また清明寒食文学としても、張繼の「閭門即事」詩を載せている。
・書庫「無題」:ブログ『張繼:閭門即事』
http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40303009.html