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洛迦山と小宝島

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○前回話したのが「普陀山と宝島」であった。中国浙江省舟山群島に存在する中国佛教四大名山の一つが普陀山である。観音信仰の聖地として、中国では年間360万人が訪れると言う島である。

○その普陀山を訪れると、本来の観音信仰がどのようなものであったかを知ることができる。観音信仰の大事な行事の一つであったと思われるのが太陽崇拝である。それは現代に於いても、普陀山で体験することができる。

○普陀山には普済禅寺・法雨禅寺・慧済禅寺の三寺が存在する。寺には山号が付き物である。だから普陀山三寺とは、言い換えると普陀山三山だと言うことになる。

○普陀山には五回参詣し、隈無く歩いている。そのように普陀山へ参拝し、三寺にお参りすると判ることだが、基本的に普陀山三寺は東側を向くように造作されている。要するに、太陽崇拝が可能なように造作された寺が普陀山三寺だと言えよう。

●詳しく述べると、普済禅寺の前の海岸線は百歩沙と言い、黄色い砂浜となっている。その東に海が広がり、5匆に洛迦山が浮かんでいる。洛迦山の形状は観音菩薩の御姿である。朝、太陽は洛迦山から昇る。それを遙拝するのが普陀山信仰の原型である。

●法雨禅寺は、普陀山の北側に位置する。法雨禅寺の東側にも砂浜が広がっていて、千歩沙と言い、百歩沙の二倍くらいもある。したがって、法雨禅寺の東側も海であって、5匆に洛迦山が浮かんでいる。

●普済禅寺や法雨禅寺が海沿いの寺であるのに対して、慧済禅寺は山上の寺となっている。山の名は仏頂山と言い、標高は286叩K ̄禅寺から慧済禅寺までは急な坂道が続く参詣道である。香雲路と言う名がある。2劼らいだろうか。慧済禅寺は仏頂山の西麓に存在する。したがって、慧済禅寺から洛迦山は見えない。洛迦山を見るには仏頂山へ登る必要がある。もっとも、今は、北側からケーブルカーで登ることができる。

●中国の検索エンジン百度の百度百科が案内する洛迦山を見ておきたい。

      洛迦山
   洛迦山位于普陀山东南约5.3公里处,传为观世音菩萨发迹、修行之圣地。《华严经》载:“于此地
  方有山,名补怛洛迦,彼有菩萨,名观自在。”初唐四杰之一的王勃作《观音大士赞》云:“南海海深
  幽绝处,碧钳嵯峨连水府。号名七宝洛迦山,自在观音于彼住……”。据民国《普陀洛迦新志》记载:
  “洛迦山,海中悬岛,在普陀山东南。凡朝山礼佛者必兼谒是山。”
  http://baike.baidu.com/item/%E6%B4%9B%E8%BF%A6%E5%B1%B1/2405926?fr=aladdin

●中国には『凡朝拜普陀山的信徒,必到洛迦山』とか、『不到洛迦山不算朝完普陀』の言葉がある。『凡朝拜普陀山的信徒,必到洛迦山』は、「普陀山へ参拝する信心深い仏教徒は必ず洛迦山までお参りする」意だろうし、『不到洛迦山不算朝完普陀』は、「洛迦山へお参りしなかったら普陀山参詣を完全に果たしたとはしない」意である。それほど、普陀山で洛迦山の占める地位は高い。

●それは当たり前と言えば当たり前だと言うしかない。もともと普陀山参詣とは観音信仰である。その観音様の御姿が洛迦山なのである。誰でも観音様を見たいし、できれば観音様の懐まで出掛けたい。

◎普陀山から洛迦山へ出掛ける行為は、昔は誰でも出来ることでは無かった。それは『補陀落渡海』と言って、日本には江戸時代までその痕跡が残されている。このことについては、前回触れたので、そちらを参照されたい。
  ・書庫「日向国の万葉学」:ブログ『普陀山と宝島』
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/40638546.html

◎日本の補陀落渡海はまるで荒唐無稽なものとなっている。しかし、本来、中国の補陀落渡海とは、5劼曚廟茲陵両紊防發ぶ小島に赴く、極めて合理的な宗教行事であった。おそらく、時々、食糧などが届けられたものと思われる。

◎判るように、補陀落渡海は究極の観音信仰となっている。したがって、信徒が普通に、普陀山から洛迦山へ出掛けると言う現在の信仰形態は、もともとのものではあるまい。誰もが憧れるものを一般的にしたものが現在の洛迦山参詣だと言えよう。これまで、洛迦山参詣は3回済ませている。

◎信仰の力とは、何とも凄まじい。そういうことを感じたのは、最初に普陀山から洛迦山を遙拝した時のことであった。普陀山から遙拝する洛迦山は観音様の御姿をしているのだが、私にはその御姿が如何にも不自然なように思えたのだった。それで洛迦山参詣を果たした。
  ・書庫「普陀山・洛迦山」:29個のブログ
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1210153.html?m=l&p=1

◎しかし、洛迦山の入解脱門前にある『游客止歩』の看板に遮られて、観音様の御姿の首のところまで行くことが出来なかった。それで、寧波在住の友人である李さんにお願いして、洛迦山の観音様の御姿の首のところまで行っていただいた。その後、再度李さんと洛迦山にへ出掛けて、そのことを確認した。
  ・書庫「寧波三歩・洛迦山参詣」:34個のブログ
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1221590.html?m=l&p=1

◎結論から言うと、洛迦山の観音様の御姿は、自然のものでは無い。明らかに首を造作した痕跡が見られる。これまで私はそのことを2回確認しているから、間違いの無い話である。
  ・書庫「観音信仰の島:普陀山」:14個のブログ
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1228925.html?m=l

◎全く同じような風景を日本でも見ることができる。それはある意味、感動でもある。中国佛教四大名山の一つである普陀山の風景を日本でも見ることが出来ると言うのだから。

◎私はその風景をこれまで2回見ている。だから間違いの無い話である。
  ・書庫「吐火羅の旅」:19個のブログ
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1185562.html?m=l&p=1
  ・書庫「吐噶喇往還」:30個のブログ
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1205424.html?m=l&p=1

◎それでも、これまでゆっくり小宝島を訪問したことが無かった。それで、小宝島訪問をした。
  ・書庫「小宝島訪問」:16個のブログ
  http://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/folder/1221591.html?m=l&p=1

◎宝島が存在するから小宝島がある。普通、誰でもそう考える。しかし、本当は逆なのかも知れない。小宝島に拠って、そういうことを思った。

◎何故なら、小宝島が補陀落(補陀落山、補陀洛迦、普陀落、普陀洛とも)であって、観音様の住むところであることは間違いない。それなら小宝島は『ホダラカ』島だと言うことになる。

◎そうであるなら、先に「小宝島=ホダラカ島」が存在して、後から宝島の名が付いたとも言えよう。ここでは宝島より「小宝島=ホダラカ島」の存在の方が大きいのである。

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