○立春に寄せて。羅隠の『京中正月七日立春』詩、張九齡の『立春日晨起對積雪』、韓愈の『春雪』詩、韋莊の『立春』詩と続けている。今回は、張軾の『立春偶成』詩である。
【原文】
立春偶成
張軾
律回歳晩冰霜少
春到人間草木知
便覺眼前生意滿
東風吹水參差
【書き下し文】
立春に偶、成る
張軾
律回り歳の晩れ、氷霜少なければ、
春の人間に到るを、草木知る。
便ち覚ゆ、眼前に生意満つるを、
東風は水を吹き、緑は参差たり。
【我が儘勝手な私訳】
暦を繰れば年も暮れ、寒さも次第に和らいで来た。
春が訪れたことを、まっさきに草や木が感知する。
それで私たちはようやく悟る、春の息吹が漲っていることを、
春風が水面を吹きわたり、何処も全て緑一色に埋め尽くされる。