○陸游の『立春日』詩については、以前に既に書いている。
・書庫「無題」:ブログ『陸游:立春日』
https://blogs.yahoo.co.jp/yan1123jp/41285607.html
○ただ、陸游には、同名の詩が多く存在するらしい。インターネットで調べると、『「陆游」诗词全集(9362首)』には、9362首もの詩が存在するとある。
詩詞名句網
「陆游」诗词全集(9362首)
http://www.shicimingju.com/chaxun/zuozhe/46.html
○ちなみに、『「陆游」诗词全集(9362首)』で調べたところ、『立春』詩は2首、『立春日』詩が4首も存在した。今回案内する詩は、そういうものの一つである。
【原文】
立春日
陸游
日出風和宿醉醒
山家樂事滿系齡
年豐臘雪經三白
地唆春郊已遍青
菜細簇花宣薄餅
湖村好景吟難盡
酒香浮蟻瀉長瓶
乞與侯家作畫屏
【書き下し文】
立春日
陸游
日の出で風は和なれば、宿醉は醒め、
山家は樂事なれば、系齡の滿つ。
年は臘雪豐かなれば、三白を經、
地は春郊を唆かし、已に遍く青なり。
菜は簇花の細ければ、薄餅に宣しく、
湖村の好景は、吟ずるも盡くし難し。
酒香は浮蟻して、長瓶を瀉ければ、
侯家に與かり乞ひて、屏を畫くを作さん。
【我が儘勝手な私訳】
立春の日、太陽が昇り風は穏やかだったので、二日酔いもすっかり醒め、
田舎家はのんびりしているので、お陰で七十七歳にもなってしまった。
昨年十二月から大雪が続き、三度も降り積もったけれども、
地上には春が訪れ、郊外まですでに全部が青々となっている。
菜の花は花が集まって細いので、春餅に入れるのにちょうど良いし、
私が住む会稽の鏡湖辺りの春の絶景は、作詩しても表現し尽くすのが難しい。
長瓶を傾けると、酒の香りが浮かび溢れて、
是非とも、公侯の家を見付けて、屏風に絵を描かせていただきたいものである。