Quantcast
Channel: 古代文化研究所
Viewing all articles
Browse latest Browse all 1914

高適:別韋參軍

$
0
0
○高適の詩を、『同諸公登慈恩寺浮圖』詩から、『田家春望』詩、『詠史』詩、『銅雀妓』詩、『宋中』詩、『夜別韋司士』詩、『送李少府貶峡中王少府貶長沙』詩、『醉後贈帳九旭』詩、『人日寄杜二拾遺』詩、『封丘作』詩と続けている。今回は、高適の『別韋參軍』詩である。

  【原文】
      別韋參軍
        高適
     二十解書劍
     西游長安城
     舉頭望君門
     屈指取公卿
     國風沖融邁三五
     朝廷歡樂彌寰宇
     白璧皆言賜近臣
     布衣不得干明主
     歸來洛陽無負郭
     東過梁宋非吾土
     兔苑為農歳不登
     雁池垂釣心長苦
     世人遇我同衆人
     唯君於我最相親
     且喜百年見交態
     未嘗一日辭家貧
     彈棋撃筑白日晩
     縱酒高歌楊柳春
     歡娯未盡分散去
     使我惆悵驚心神
     丈夫不作兒女別
     臨岐涕涙沾衣巾

  【書き下し文】
      韋參軍と別る
          高適
    二十にして、書劍を解き、
    西のかた、長安城に游ぶ。
    頭を舉げて、君門を望み、
    指を屈して、公卿を取る。
    國風の沖融は、三五を邁え、
    朝廷の歡樂は、寰宇に彌つ。
    白璧は、皆、近臣に賜ふを言ふも、
    布衣は、明主に干するを得ず。
    洛陽に歸來すれば、負郭無く、
    東のかた、梁宋を過ぐれば、吾が土に非ず。
    兔苑に農を為すも、歳は登らず、
    雁池に釣りを垂るるも、心は長苦す。
    世人は我に遇ふに、衆人と同じくするも、
    唯だ君の我に於けるのみ、最も相親し。
    且つ、百年も交態を見るを喜び、
    未だ嘗て一日も、家の貧なるを辭せず。
    棋を彈き筑を撃つ、白日の晩、
    酒を縱にし高歌す、楊柳の春。
    歡娯は未だ盡さざるも、分散して去る、
    我れをして惆悵せしめ、心神を驚かしむ。
    丈夫は兒女の別れを作さざるも、
    岐れに臨んで、涕涙の衣巾を沾らす。

  【我が儘勝手な口語訳】
      二十歳で、故郷の宋城を離れて、
      西にある、都長安城へ遊学した。
      高く雄大な宮城を望見し、
      指折り数えて、公卿の家々を眺めた。
    唐代文化の融和は、三皇五帝を越え、
    唐代文化の繁栄は、中国全土に満ちている。
    唐王朝では、財宝は全て側近たちに恩賜されると言うけれども、
    一般庶民である私が、皇帝にお目にかかる機会はなかなか無い。
    都長安から洛陽まで帰ってくると、洛陽城は城壁も壊れたままで、
    さらに東へ向かい、宋城を過ぎたら、もう私の知る土地ではない。
    漢の梁王、劉武が築いた梁园で、農業をしてみたが、収穫が上がらない、
    梁園内にある雁池で、周文王に倣って釣りをしてみたが、面白くも無かった。
    世の人々は、私に対して、皆と同じように接してくれるけれども、
    韋參軍、君だけが私に対して、特別に親しく接してくれた。
    加えて、一生交際を続けることを約束してくれ、
    今までに一回だって、私の家が貧しいことを気にしたこともない。
    将棋を打ち筑を鳴らして、韋參軍と私の一日が終わり、
    大酒を飲み、大声で歌って、韋參軍と私の春が過ぎる。
    歓楽をまだ十分にし尽くしたわけでもないのに、韋參軍と私は離別する、
    別れに際して、私はただ、懊悩し、悲しむばかりである。
    男は婦女のような見苦しい送別をするものではないと言うけれども、
    韋參軍との送別に際して、私はただ嘆き悲しむしかない。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 1914

Trending Articles