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おしえて邪馬台国5

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○朝日新聞の特集記事「おしえて邪馬台国」が、随分久し振りに、今朝の新聞に書かれていた。見出しと概略には次のようにあった。

      「斯馬国」は糸島の志摩?
      銅剣・集落 史料を後押し
   「魏志倭人伝」には、邪馬台国をはじめとする約30国の弥生時代のクニグニが
  列挙されている。その3分の2を占める名前だけしかないクニのひとつが「斯馬国」だ。
  今も場所が確定しない幻のクニだが、近年、これを福岡県糸島半島の北部、旧志摩町
  (現・糸島市の一部)に想定する動きが目につく。

○朝日新聞の記事を読むと、それが一の町遺跡の存在であることが判る。そして、朝日新聞の記事では、それを新井白石が江戸時代にすでに推定していることを紹介している。

○別に、特集記事「おしえて邪馬台国」では、「キーワード」として、『倭人伝のクニグニ』を説明している。

      倭人伝のクニグニ
   「魏志倭人伝」によれば、倭(わ)国にはもともと百余国、その後、通訳や使者を通して
  中国と交渉を持つ30国が存在したとある。対馬国から邪馬台国の8国までは行程の説明が
  あるが、それに続く斯馬国からの21国は名前だけ。南には女王(卑弥呼)に属さない狗奴
  (くな)国があったという。

○「三国志」を書いた陳壽が希代の史家であることは誰もが認めるところである。その陳寿の書いた「三国志」の第三十巻が『烏丸鮮卑東夷伝』であり、いわゆる「魏志倭人伝」は、その『烏丸鮮卑東夷伝』の一部である。そんな「三国志」の一部である「魏志倭人伝」が、そんないい加減な著作であると考える方がどうかしている。

○上記、『倭人伝のクニグニ』にしたところで、原文には、
  舊百餘國漢時有朝見者。今使譯所通三十國。
とあって、それは決して、
  ・通訳や使者を通して中国と交渉を持つ30国が存在した
ことではない。それはあくまで、当時の中国である魏國が認識する倭國が30國であったと言うに過ぎない。

○陳壽が「魏志倭人伝」を書いた本来の目的は、何と言っても魏國が認識する倭國30國の全貌に他ならない。それなのに、
  ・対馬国から邪馬台国の8国までは行程の説明があるが、それに続く斯馬国からの21国は
   名前だけ。
と言うことは、考えられない。それは明らかに「魏志倭人伝」が読めていない証拠だろう。

○「魏志倭人伝」をちゃんと読むと、「魏志倭人伝」には倭國30國は次のように案内してある。

  【渡海三国】
    ・狗邪韓国・対馬国・壱岐国
  【北九州四国】
    ・末廬国・伊都国・奴国・不弥国
  【中九州二十国】
    ・斯馬国・巳百支国・伊邪国・都支国・邇奴国・好古都国・不呼国
    ・姐奴国・対蘇国・蘇奴国・呼邑国・華奴蘇奴国・鬼国・為吾国・
    ・鬼奴国・邪馬国・躬臣国・巴利国・支惟国・烏奴国・(奴国)
  【南九州三国】
    ・投馬国・邪馬台国・狗奴国

○だから、斯馬国は中九州に位置するしかない。とてもではないけれども、新聞記事の、
  ・「斯馬国」は糸島の志摩?
説が成立する余地は、まるでない。

○まずは、史料である「魏志倭人伝」をしっかり読むことだろう。満足に「魏志倭人伝」すら読まないで、邪馬台国や卑弥呼に言及することは誰にもできない。そういう説は全てまやかしに過ぎない。

○それに邪馬台国はすでに発見されている。狗奴国にしたところで同じである。そういう時代に、こういう時代遅れの話をされたところで、どうしようもない。

○まもなく卑弥呼の墓が発掘される。今はそういう時代である。邪馬台国畿内説や北九州説論者がどうあがいたところで卑弥呼の墓は発見できない。そんなところに邪馬台国が存在するはずもないのだから。

○まずは、丁寧に「魏志倭人伝」を読むことだろう。そうすれば、邪馬台国までの道程が明らかとなる。読めない人の為に、案内すると、次のようになる。

  ・帯方郡→狗邪韓国     七千余里
  ・狗邪韓国→対馬国      千余里
  ・対馬国→壱岐国       千余里
  ・壱岐国→末廬国       千余里
  ・末廬国→伊都国       五百里
  ・伊都国→ 奴国        百里
  ・ 奴国→不弥国        百里
  ・不弥国→投馬国     千五百余里
  ・投馬国→邪馬台国     八百余里
  ・末廬国→邪馬台国     二千余里

○これだけ、懇切丁寧に、陳壽は「魏志倭人伝」で倭國の全貌や邪馬台国を案内している。それが理解できないのであれば、邪馬台国探索などしてはならない。

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