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三国名勝図会:高隅嶽(鹿屋)

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○ここまで、「三国名勝図会」が案内する高隅嶽(高隅)と高隅嶽(新城)について、述べて来た。それに引き続き、今回は「三国名勝図会」が案内する高隅嶽(鹿屋)である。
      高隅嶽(地頭館より亥子の方、二里。)
   大窪村にあり。此山數嶽あり。其總名を高隅嶽といふ。當郷に属するもの三つあり。權現嶽、須摩嶽、中嶽といふ。其最高なるを権現嶽とす。山下より絶頂まで一里。絶頂近きになれば、其路甚険難にして、纔に崖間の山徑を攀て登るべし。絶頂に平地半畦程あり。立藏權現の祠屋を建つ。又その絶頂に映山紅及び七葉樹多く、又三葉躑躅とて、紫花を開る者多し。其外山上の樹は樅及び五鬣松等の巨木多しといへども、烈風の爲に吹折られ、高さ三四尺に過ず。絶頂の四畔は、石崖堆積す。崖下二十間許に清泉ありて、嵒隙より流れ出づ。四季断ることなし。此權現嶽は、諸峯の内最高なる故に、一望豁然、數十里天際に達して、目に遮るものなし。遠くは高千穂嶽、冠嶽金峯山、海門嶽國見岳等、四方の巨嶽、皆杳渺の中に秀を争ひ、近くは櫻華嶽を目下に俯し見、其餘の群山諸峯は、蟻垤を連るが如く、薩隅の裏海は、一湖地にも比すべし。

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