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李白:送温處士歸黄山白鵝峰舊居

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○李白の詩をもう一つ。今回は、「送温處士歸黄山白鵝峰舊居」を紹介したい。

  【原文】
    送温處士歸黄山白鵝峰舊居
             李白
    黄山四千仞,三十二蓮峰。
    丹崔夾石柱,菡萏金芙蓉。
    伊昔升絕頂,俯窺天目松。
    仙人煉玉處,羽化留遺蹤。
    亦聞温伯雪,獨往今相逢。
    采秀辭五岳,攀岩歴萬重。
    歸休白鵝嶺,渇飲丹砂井。
    風吹我時來,雲車爾當整。
    去去陵陽東,行行芳桂叢。
    回溪十六渡,碧嶂盡睛空。
    他日還相訪,乘橋躡彩虹。

  【書き下し文】
      温處士の黄山白鵝峰舊居に歸るを送る
             李白
    黄山は四千仞、
    三十二の蓮峰。
    丹崔は石柱を夾み、
    菡萏は金芙蓉なり。
    伊昔、絕頂に升り、
    天目松を俯窺す。
    仙人の玉を煉く處、
    羽化の遺蹤を留む。
    亦聞く、温伯雪の、
    獨り往むに、今相逢ふと。
    采秀の五岳を辭して、
    岩を攀り、萬重を歴す。
    歸りて白鵝嶺に休み、
    渇して丹砂井を飲む。
    風の吹き、我が時の來れば、
    雲の車、爾に當に整ふべし。
    去り去りて、陽東に陵り、
    行き行きて、桂叢の芳し。
    溪を回りて、十六渡り、
    碧嶂、盡く睛空。
    他日、還た相訪れれば、
    橋に乗り、彩虹を躡ぐ。

  【我が儘勝手な私訳】
    黄山の高さは、四千仞もの高さを誇り、
    黄山は、三十二の蓮華の峰が連なる。
    黄山では見事な石峰には石柱が立ち、
    黄山は全体として、黄金色の蓮華の形容をしている。
    遙か昔に、黄山の山上に登り、
    天目松の林を見たことがある。
    黄山は仙人たちの修行の地であり、
    昇天した仙人たちの遺跡を残す。
    亦、温伯雪子が独居して居るのに、
    今でもここでは遭うことが出来ると聞く。
    温處士は、何でも揃った五岳の山々を離れて、
    秘境、黄山の岩山を登り、黄山山中で修行する。
    黄山へ帰って来れば、白鵝嶺に住み、
    喉が渇けば、丹砂の井で潤す。
    風が吹くと、我が時が来たとばかりに、
    雲がまるで車のように、黄山に当然整列しなくてはならない。
    遠く、陽東の黄山に登り、
    更に行くと、隠逸の棲む桂樹林が見えて来る。
    溪を廻って、十六も渡ると、
    碧い嶂の上は、睛空が広がっている。
    別の日に、再び相訪れると、
    黄山には橋が架かって、貴方は彩虹を躡ぐに違いない。

○2013年6月15日、黄山を訪れた。黄山山上に上る際、利用したのが、雲谷索道(ケーブルカー)であった。その雲谷索道(ケーブルカー)は下の雲谷寺站から上の白鵞峰站まで、全長2666叩標高差775辰離院璽屮襯ーであった。

○雲谷索道(ケーブルカー)で上った先が白鵞峰站で、ここが温處士の舊居、白鵝峰である。現在は、山下から雲谷索道(ケーブルカー)でわずか10分で辿り着く。何とも文明は便利なものである。しかし、それに拠って失ったものも多いことだけは確かである。

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