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劉禹錫:同楽天登栖霊寺塔

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○劉禹錫と白楽天とは、ともに唐の叡文孝武皇帝の大暦七年(772年)生まれで、同年である。詩人としての評価はともに高い。この時代、劉禹錫(772~842)と白楽天(772~846)だけでは無く、韓愈(768~824)や柳宗元(773~819)も、ほぼ同年代の文人である。

○その劉禹錫と白楽天とが二人で揚州栖霊寺塔へ登り、詠んだ詩を残している。それが劉禹錫「同楽天登栖霊寺塔」詩と、白居易「与夢得同登栖霊塔」詩である。先に、劉禹錫「同楽天登栖霊寺塔」詩を案内したい。

  【原文】
      同楽天登栖霊寺塔
           劉禹錫
    歩歩相携不覚難
    九層雲外倚闌干
    忽然笑語半天上
    無限遊人挙眼看

  【書き下し文】
      楽天と同じく栖霊寺塔に登る
           劉禹錫
    歩歩相携へて難を覚えず、
    九層の雲外、闌干に倚る。
    忽然として笑語す、半天の上、
    無限の遊人、眼を挙げて看る。

  【我が儘勝手な私訳】
    白楽天と一緒に揚州栖霊寺塔へ登るから、それほど苦労が無い。
    栖霊寺塔は九層の高楼で、最上階の手すりに凭り掛かって二人で眺望を楽しむ。
    すぐに二人で栖霊寺塔の最上階で大声で談笑し始めたものだから、
    大明寺参詣に訪れた大勢の人々が、何事かと塔上を見上げているではないか。

○劉禹錫「同楽天登栖霊寺塔」詩には、まるで気負いと言うものが感じられない。ここにあるのは、単に親しい友人との交情を詠ったものに過ぎない。それがまた何とも良い。

○背景が、揚州大明寺の栖霊寺塔上の雄大な眺望であることがさり気なく描かれている。それが実に上手い。こういう詩が書ける詩人は、やはり只者では無い。

○もちろん、白楽天も負けてはいない。白楽天が返した「与夢得同登栖霊塔」詩は、次回、案内したい。白居易「与夢得同登栖霊塔」詩がどう言ったものであるか。それを想像する楽しみが私たちにはある。

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