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孟雲卿:寒食

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○「寒食日献郡守」詩が伍唐珪のものなのか、それとも張友正作なのか。いろいろ調べているうちに、偶然、孟雲卿の「寒食」詩に出遭った。「寒食日献郡守」詩はなかなか面白い詩想だったが、孟雲卿の「寒食」詩も、それに遜色ない風情がある。

  【原文】
      寒食
        孟雲卿
    二月江南花滿枝
    他鄉寒食遠堪悲
    貧居往往無煙火
    不獨明朝為子推

  【書き下し文】
      寒食
       孟雲卿
    二月、江南は花の枝に満つるに、
    他郷にて、寒食は遠く悲しみに堪ふ。
    貧居は往往にして煙火無く、
    独り明朝、子の為に推さず。

  【我が儘勝手な私訳】
    寒食の日、江南地方では、春花が枝枝に満ち満ちているのに、
    私は異郷の地にあって、寒食節なのに墓参りもままならない。
    貧乏暮らしだから、料理すら出来ないこともしばしばあるが、
    せめて寒食節明けの明朝くらいは、子供の為に食事させてあげたい。

○日本人には、清明や寒食の習慣が無いので、清明や寒食がいつ頃のもので、どういう風習なのかが、なかなかしっくり来ない。そういう意味では、中国では清明や寒食の習慣が身に付いているから、そこから様々な文化や表現が生まれている。張友正の「寒食日獻郡守」詩や孟雲卿の「寒食」詩からは、そういうものを汲み取ることが出来る。

○因みに、中国の検索エンジン百度の百度百科が載せる孟雲卿の「寒食」詩は、次の通り。

      寒食孟云卿
   【寒食】节令,清明前一天。春秋时介子推曾随晋公子重耳出门在外十九年。耳后为晋文公,赏赐随
  从。推不求官封,与母隐居绵山,后耳焚山逼他出,推拒而抱树枝烧死。太原、上党、西河、雁门等地
  为纪念他,每年冬至后一百五日禁火寒食,俗称寒食节。
  http://baike.baidu.com/view/3514855.htm

○別に、百度百科には孟雲卿の項目も存在する。

      孟云卿
   孟云卿,字升之,平昌(今山东州)人。约生于725年(唐开元十三年)。天宝年间赴长安应试未
  第,30岁后始举进士。肃宗时为校书郎。存诗17首。其诗以朴实无华语言反映社会现实,为杜甫、元结
  所推重。孟云卿与杜甫友谊笃厚。758年(乾元元年)夏,杜甫出任华州司公参军,行前夜饮话别,并
  以诗相赠,即《酬孟云卿》。同年冬,他们在洛阳相遇,同到刘颢家中畅饮。杜甫又写了《冬末以事之
  东郊,城湖东遇孟云卿,复归刘颢宅宿,饮宴散因为醉歌》一诗,记叙此次邂逅相遇彼此喜悲交集的情
  景,表达了诗友间的诚挚感情。
  http://baike.baidu.com/view/119031.htm

○百度百科の『孟雲卿』項目の中に、次の記事を見付けた。

   【寓意】此诗借咏“寒食”写寒士的辛酸,却并不在“贫”字上大作文章。试看晚唐伍唐珪《寒食日
  献郡守》:“入门堪笑复堪怜,三径苔荒一钓船。惭愧四邻教断火,不知厨里久无烟”,就其从寒食断
  火逗起贫居无烟、借题发挥而言,艺术构思显有因袭孟诗的痕迹。然而,它言贫之意太切,清点了一番
  家产不算,刚说“堪笑”、“堪怜”,又道“惭愧”;说罢“断火”,又说“无烟”。不但词芜句累,
  且嫌做作,感人反不深。远不如孟云卿此诗,虽写一种悲痛的现实,语气却幽默诙谐。其三、四两句似
  乎是作者自嘲:世人都在为明朝寒食准备熄火,以纪念先贤;可象我这样清贫的寒士,天天过着“寒
  食”生涯,反倒不必格外费心呢。这种幽默诙谐,是一种苦笑,似轻描淡写,却涉笔成趣,传达出一种
  攫住人心的悲哀。这说明诗忌刻露过火,贵含蓄耐味。而此诗也正由于命意新颖,构思巧妙,特别是恰
  当运用反衬手法,亦谐亦庄,耐人咀嚼,才使它成为难以数计的寒食诗中不可多得的佳作。

○こうやって、張友正の「寒食日獻郡守」詩と孟雲卿の「寒食」詩を並べて評価しようと言う考え方をしていることが面白い。私と同じようなことを考えている人が居たことに驚いた。

○長々と清明や寒食について言及するには、理由がある。中国に於いて、清明や寒食は、一種独特の、特別な行事であるような気がしてならない。そのためには、こうやって、清明や寒食を案内する文学を紹介するしかない。そうすることによって、中国の清明や寒食文化を吸収することが出来ると考えるからである。

○もともと、文化とはそういうものである。それは民族や人種によって様々な様相を見せる。ものの見方、感じ方が、それぞれ違うのである。そういうものを理解しない限り、その文化は理解出来ない。

○そういう中国人のものの見方、感じ方が清明や寒食を案内する文学に見ることが出来る。私にはそう思えて仕方が無い。そういうつもりで、このブログを書いている。

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